円高・原料高重く中計未達圏だが、今期も最高益更新か・DIC(4631)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4631】DIC(東証1部) ---

現在値 3,605円/100株 PER8.5 PBR 1.08 6月配当優待 12月配当優待

海外企業買収でインキ世界首位。樹脂、電子材料等へ事業展開多彩。
配当は6月12月の年2回合計の125円配で配当利回りは3.47%となります。

DICは株主優待として6月末の単元株主に対してオリジナルカレンダーを、12月末の

単元株主に対して、DIC川村記念美術館入場券(2枚4人分)と自社製品(3,980円相当、

※スピルリナナチュラル450粒;2017年度実績ベース)を進呈しておりますので、自社

製品のみを金額換算した場合の配当優待利回りは、約4.57%となります。

業績は下記の通りです。
■2014年12月期 売上高 8,300億円、営業利益 410億円 EPS 267円 
■2015年12月期 売上高 8,199億円、営業利益 510億円 EPS 389円  
■2016年12月期 売上高 7,514億円、営業利益 541億円 EPS 366円  

■2017年12月期 売上高 7,894億円、営業利益 564億円 EPS 407円(2/14)

■2018年12月期 売上高 8,200億円、営業利益 580億円 EPS 422円 ce  
□2018年6月中 売上高 4,000億円、営業利益 260億円 EPS 184円 ce

2017年12月通期の売上高は前期比5.1%増の7,894億円、営業利益は同4.2%増の564

億円となり、期初予算に対してやや未達となりました。主力のプリントインキを中心に

ファインケミカル、ポリマ等全てのセグメントで増収と確保したものの、利益面では4Q

の原材料費の高騰やトルコ通貨安の影響を受け、高付加価値品の伸長では補えず、

最高益を達成したものの、期初予算比では15億円程度ショートしました。また営業外

では米国税制改正によるDTAの取り崩しにより、60億円の特損を計上させています。


進行期である2018年12月期の予算については、売上高が4.5%増の8,200億円、営業

利益は2.7%増の580億円と最高益更新を予想しています。ファインケミカルを除いた

他の主要セグメントで増収を計画しており、原料高の影響を引きずるものの、徐々に

価格転嫁が進む見通しです。全世界的に新聞や出版向けのプリンティングインキの

需要は減少しているものの、ファインケミカルの液晶パネル用カラーフィルタや液晶

等の高機能材化、ポリマにおける自動車関連樹脂の高付加価値品へのシフトにより

収益拡大を狙います。なお当社は為替・原油価格の影響を受けるため、期中に業績

修正をすることがありますが、期初ガイダンスの数%程度に収まる傾向にあります。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、2015年12月期との比較で、売上高8,200→

9,600億円、営業利益511→650億円を目指しておりましたが、今期の予算は上述の

とおりですので、売上高・利益ともに大幅未達となる公算です。ただこの営業利益の

650億円については、策定当初の為替前提がドル円120円想定だったことが大きく、

今期は同110円前提で予算を組まされていることを踏まえると、もしこの為替変動が

なければ中計目標水準(かやや下くらい)までは到達した可能性もあります。また、本

中計期間中に研究開発・生産増強・MAなどのために1,500億円の投資枠を設定して

おりますが、今期の設備投資510億円はこの枠とは別?の模様で、その辺の成否は

MAの出物次第というところもあるため、基本的にはオーガニック成長頼りとなります。

 

また、株主還元については、本中計期間で20→30%に引き上げたこともあり、今期は

4期連続増配となる125円配当(前の期比5円増配)を見込んでいます。一方、本中計

期間の財務面の目標として、D/Cレシオを50%程度でコントロールするというKPIを置

いていましたが、足許では41.4%まで抑制出来ており、財務面は想定を超えるペース

で良化しているため、株主還元を更に厚くすることも期待出来る状況ですが、これは

思うようにMAや投資が出来ていないことの逆証明でもあるため、単純に評価出来る

ようなものでもなさそうです。

 

 

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