以前も似たようなエントリをしたことがありますが、「晴天時の航海」と、「嵐の中での航海」は全く違います。私は大航海時代やネオアトラスといった、貿易船で貿易が出来るゲームが好きだったのでよくこの例えを使うのですが、「晴天時の航海」は、アジアで自船にパンパンに香辛料を詰め込み、高く売れる欧州に運んで売ることを繰り返し、どんどん船を大型化させて積載量を増やし、大きな帆で貿易風を目一杯に受けてスピードを上げ、航海する度に儲けを膨らましていくイメージです。
一方、「嵐の中での航海」は全く違います。嵐の中では積み荷を運んで儲けることではなく、生き残ることが最優先ですので、そもそも目的感から異なります。ここで邪魔になるのが「晴天時の航海」でボロ儲けした経験であり、生き残ることではなく売れば大金になる積み荷を出来るだけ自船に残し、そのまま航海を続けるという誤った選択をしてしまうことです。積み荷を海に投げ込んで自船を軽くするとか、最寄りの港に寄港して、嵐が収まるのを待つという判断もあるはずですが、これまでの航海では必ず儲かってきたので、どれだけ海が荒れていようが積み荷をたっぷり積んだまま船を進めようとしてしまいます。
もっとも、「嵐の中での航海」の経験がなければ、自船が途中で寄港出来るような港が何処にあるかもわからないですし、そもそも嵐が明日止むのか、1か月後に止むのか、はたまた1年は止まないのか・・・皆目見当がつかないので、漠とした不安から、とりあえず嵐の中でも自国の港に帰ろうとしてしまうものかもしれません。
言うまでもありませんが、アベノミクス以降の5年強は「晴天時の航海」です。つまり最近になって航海を始められた投資家さんの中には、「嵐の中での航海」の経験が少ない方もいらっしゃるかと思いますが、よい経験が出来るチャンスであり、底当てゲームをするのも、生き残れる範囲でやるなら構わないと思います。ただ、生き残れる範囲が自分でよくわからない場合は、直ぐに航海を止めて、ひたすら相場の雲行きを眺めているだけでも、きっと将来の航海に役立てることが出来ると思います。
※なお、ちゃぶだい返しで恐縮ですが、個人的に今の相場は「嵐の中での航海」というよりは、まだ「晴天時の航海」に近い部類かと思います。そもそもこの5年間が晴天続きで、嵐どころか雨さえ殆ど降らなかった異常気象みたいなものですので、小雨とは言わないものの、やっと雨が降ってきたくらいの感覚です。ご参考までに。
![]() |
新品価格 |
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。