「風雲急を告げる」旧大証二部銘柄、石原ケミカル(4462)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4462】石原ケミカル (東証二部)  --

現在値 2,094円/100株 PER19.3 PBR0.95 3月配当優待 9月配当優待 

金属表面処理剤の研究開発型メーカー。ウエハバンプ用等電子関連が主。
配当は年2回合計32円配当のため、配当利回りは1.53%となります。

石原ケミカルは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に単元株以上

を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを年2回進呈しております

すので、配当優待利回りは約2.48%となります。


業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 163億円、経常利益 9.9億円 EPS 91.8円
■2015年3月期 売上高 157億円、経常利益 9.7億円 EPS 72.7円 
■2016年3月期 売上高 145億円、経常利益 7.5億円 EPS 77.0円
■2017年3月期 売上高 145億円、経常利益 8.2億円 EPS 99.4円 

■2018年3月期 売上高 148億円、経常利益 11.1億円 EPS 103.5円 ce
□2018年9月中 売上高 75.7億円、経常利益 6.9億円 EPS 65.9円(10/27)


2017年9月中間期の売上高は前年同期比3.5%増の75.7億円、経常利益は同

倍増の6.9億円となり、予算を上回りました。主力の金属表面処理剤・機器等

が車載半導体、4K/有機ELテレビ、半導体ウエハ―用の銅めっき液の需要

が堅調に推移しました。また、工業薬品も鉄鋼向けの苛性ソーダの単価増が

寄与したほか、自動車用品もAC洗浄剤の販売が好調に推移しました。


2018年3月期通期の予算については据え置いており、売上高が前期比2.1%

増の148億円、経常利益は35.2%増の11.1億円を予想しています。金属表面

処理剤・機器等は、依然として電子部品(半導体)市況の活況を背景に堅調

に推移する可能性が高いほか、自動車用品も新車販売台数の増加および

カーディーラー側の収益源として、AC洗浄剤の利用が伸びていることから、

この2セグの伸長により大口失注のあった電子材料の凹みを補う計画です。

 

当社はローリング形式の中期経営計画を毎期策定していますが、特に時限

の定めのない“目標”となっており、とりあえずの数字としては、現状5.6%ほど

の経常利益率を10%にまで引き上げるほか、ROEも3.6%から8%へ倍増させる

目論見になっています。一応、当社はR&D型の事業モデルを自称しており、

研究開発費を毎期増額させつつ(年間10億円超)、今期は金属ナノ粒子等の

新規電子材料の上市を目指しています。このほか、導電性の銅ナノインクの

開発を進めており、将来的にタッチパネルやLED、太陽光モジュールの配線

・電極への利用を目指しています。

 

当社は本年9月に、おそらく上場来初めてとなるPOを実施しており、68万株

@1,641円で約12.2億円を調達しています。資金使途としては、滋賀工場の

建て替えが目的であり、好調の続く自動車用品の安定供給を目指します。

主力の金属表面処理剤等に資金を回さないのは、まず安定的に利幅の取

れる自動車用品で資金源を強化してから、各分野のR&Dに資金配賦してい

く方針と推察されます。

 

引っ掛かるのは、当社はほぼ無借金経営を継続しており、PO前でも80%を

超える自己資本比率を維持していたため、調達した12億円ほどであれば

十分デッドで調達出来たはずなのにあえてそうしなかった点です。その辺

は色々な見方が出来そうですが、当社の株主数が現状2,300名程であり、

大証二部上場から強制鞍替えにより東証二部に移ってきたという経緯や、

本年5月に株主優待制度を年2回に拡充してきた点なども複合的に考慮し

ていくと、このタイミングで株主数と流動性を確保しにきた印象を受けます。

 

また、足許10月では断続的に当社株を買い増しているシンプレクスAMの

持分が10%を突破し、ついに事実上の筆頭株主となった模様です。目的は

不明ですが、彼らの運用するバリューアップファンドは割安な化学セクター

を中心した集中投資を仕掛ける傾向があるため、外部的な参考要素では

ありますが、その辺の動向についても注目していく余地がありそうです。

 

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