基幹事業しっかりで、湯水のごとく先行投資・ニチイ学館(9792)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9792】ニチイ学館(東証1部) ---


現在値 1,184円/100株 PER25.3 PBR2.09 3月配当優待 9月配当

介護首位、医療事務受託も最大手。人材教育から手掛ける。
配当は年2回・合計22円配当のため配当利回は1.86%となります。


ニチイ学館は株主優待を導入しており、3末に100株以上を保有する株主

に対して、自社提供サービス(おむつ・ティッシュ等の製品も有)を進呈して

おりますので、これらを仮に1,000円相当として評価した場合の配当優待

利回りは約2.70%となります。

業績を確認をしていきます。
■2014年3月期 売上高 2,714億円 営業利益 63.2億円 EPS 40.5円
■2015年3月期 売上高 2,718億円 営業利益 51.7億円 EPS 6.0円  

■2016年3月期 売上高 2,735億円 営業利益 ▲7.8億円 EPS▲248円  
■2017年3月期 売上高 2,766億円 営業利益 42.0億円 EPS 21.8円
■2018年3月期 売上高 3,000億円 営業利益 93.0億円 EPS 46.7円 ce 
□2017年6月1Q 売上高  703億円 営業利益 15.1億円 EPS 7.9円(8/9)
□2017年9月中 売上高 1,459億円 営業利益 30.0億円 EPS▲3.1円 ce

2017年3月期の売上高は1.1%増の2,766億円、営業利益は黒字に転換し、

42.0億円となり、期初計画を下回って着地しました。主力の介護事業にお

いて、人員配置効率化と居住系の稼働が増加したため、セグメント利益が

68→110億円へ大きく上伸したほか、医療事務も病院向けの値上げにより

採算性が向上しました。しかしながら、依然として纏まった広告費を投じて

いる教育事業が大赤字であり、中国事業も拠点数の拡大による先行投資

が嵩んでいるため、例年どおりこの2セグが足を引っ張る形となりました。


進行期である2018年3月期の予算については、売上高が8.4%増の3,000億

円、営業利益は2.2倍となる93億円を見込んでいます。介護事業において

居住系の利用者増が見込まれるほか、医療事務での受託業務適正化と

値上げの継続、そのほか教育事業・保育事業・中国事業といった育成中

の赤字セグにおける損益良化を見込んでいます。

 

特筆すべきは、足許で基幹の医療事務・介護事業の収益安定感が増して

いることであり、人材不足という重荷が慢性的にのしかかるものの、それ

でも人材を育成出来る「教育会社」の側面を持つ当社は比較的マシであり

いよいよ今秋に迫る外国人介護職受け入れを見越して(?)、既にフィリピン

人による家事代行サービス事業の展開も予定しているほか、介護事業で

はフィリピン人のほか、中国人を100人規模で採用する計画のようです。

 

またGABA・COCO塾といった語学系に代表される教育事業の赤字は浮上

の兆しが中々見えてこないため、向こう数期は全社業績を押し下げるもの

と思われるものの、保育事業については拠点数を飛躍的に拡大させてい

るため【保育所数:80→122→198(予】、早晩利益フェーズに転じてくると

推察されます。中国事業に関しても、既に24都市に進出を果たしており、

事業パートナーの連結化も進んで、あとは本格的に介護サービスを稼働

させる手前まで来ているため、こちらも利益フェーズが接近しています。

 

当社業績は政策に左右される部分があるためなのか、中計には定量目標

が示されておらず、定性的な方針しかわからないものの、長年横横だった

全社トップラインが浮上しつつあるのは、良い兆候かと思われます。また、

3位株主にはロイヤルバンク・オブ・カナダ・トラスト(ケイマン)が、約11.7%で

顔を出しており、過去にエフィッシモが6%ほど買っていた経緯を踏まえると

色々と匂ってくる部分はあります。

 

*参考記事 2013-01-23  765円 ---

選べる株主優待・ニチイ学館の分析(9792)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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