林原のバイオ事業拡大に改めて期待、長瀬産業(8012)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8012】長瀬産業(東証1部)  ---

現在値 1,668円/100株 PER16.8 PBR0.72 3月配当株主優待 9月配当

染料・合成樹脂等の化学品専門商社首位。傘下にバイオの林原。
配当金は3月・9月の計35円配当のため、配当利回りは2.10%となります。

長瀬産業は株主優待制度を実施しており、3月末に100株以上を保有する
株主に対して、3,000円分のご当地グルメ等を進呈しておりますので、配当
優待利回りは約3.89%となります。

業績を確認していきます。   
■2014年3月期 売上高 7,232億円、営業利益 179億円、EPS 91.9円 
■2015年3月期 売上高 7,597億円、営業利益 203億円、EPS 89.1円 
■2016年3月期 売上高 7,421億円、営業利益 183億円、EPS 97.0円 
■2017年3月期 売上高 7,223億円、営業利益 150億円、EPS 81.7円 
■2018年3月期 売上高 7,320億円、営業利益 191億円、EPS 103円 ce
□2017年9月中 売上高 3,600億円、営業利益 100億円、EPS 47.6円 四e

2017年3月期の売上高は前期比2.7%減の7,223億円、営業利益は同16.6%
減の150億円となり、おおよそ期初予想圏で着地しました。退職給付会計
の差異計上が約30億円あったほか、全般的に為替影響があり(USD円@
120→108、RMB円@18.8→16.1)、主要な5セグは全て減収となりました。
ただ機能素材分野において、ナフサ下落の影響を受けるも樹脂添加剤
やシリコン原料は堅調に推移したほか、加工材分野における原価低減、
電子分野の半導体向けや自動車分野の樹脂が好調だったため、為替の
影響の除いた実力ベースでは約1割程度の営業増益となった模様です。

進行期の2018年3月期の予算については、売上高が1.3%増の7,320億円、
営業利益は27.7%増の209億円を計画しております。かなり過大感のある

予算にも見えますが、既述したとおり、前の期の為替要因と特殊要因
を調整した営業利益が、約198億円程度とみられますので、今期想定の
為替レート(USD@108)が大きく動かない限り、妥当性のある数字です。
この前提をベースに電子分野を除く全てのセグで増収を予想しており、
特にOA/ゲーム機器用および自動車用の樹脂が伸びる見通しです。

今期は5年中計「ACE-2020」の2年目となっており、最終年度となる2020
年3月期の売上高を1兆円(CAGR6%)、営業利益300億円(CAGR11%)を見
込んでいます。セグメントを一新した前中計「Change-S2014」が大幅な未
達に終わったこともあり、1年しか経過していない現状での確度は不透明
ですが、この5年で1,000億円投資枠を設定し、生活関連分野を中心に、
初年度で120億円投資しているほか、MAも積極的なため、良好な財務を
活かして“飛び道具“一発で達成することもありえます。また、9事業所の
全てで製造機能を有しており、製造だけで4割もの営業利益を占めるまで
に成長させているため、安定的な利益底上げが出来ていることにくわえ、
そもそもが低い“商社”のバリュエーションを抜け出すことも期待されます。

やはり鍵を握ると思われるのは、2012年に700億円もかけて子会社化し
た岡山のバイオ企業・林原です。同社は定常的に売上高250億円、営業
利益で45億円程度を叩き出しており、完全親会社の当社の業績に貢献
しているものの、無形固定資産とのれんの償却が年30億円もあるので、
向こう10年位の年間の営業利益寄与は15億円(年)ほどにとどまります。
そのため、林原の展開する機能性糖質(トレハロース、AA2G)を軸とした、
ファーマ・メディカル事業のいち早い業容拡大が期待されますし、当社も
林原の属する生活事業セグを中心に投資を継続しています。

なお株主還元に関しては、8期連続となる増配32→33円を実現したほか、
今期も35円(性向35.3%)となる連続増配を予想しています。ちなみに当社
の場合は純資産配当率(DOE)を基準としており、およそ1.5%基準で配当
額を決定しています。これと別に自社株買いも実施していますが、0.8%と
いう規模なので、基本は配当での還元が中心になろうかと思われます。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
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