ラサ工業から事業承継し上場、RS Technologies(3445)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3445】RS Technologies(東証1部) --

現在値 6,270円/100株 PER29.3 PBR9.76 6月配当 12月配当株主優待

半導体製造装置の調整に用いるテスト用ウエハの再生加工受託、
実績ベースの配当金は12末10円のため、配当利回りは0.15%となります。

RS Technologiesは株主優待制度を導入しており、単元保有の株主に対し、
12月末に6,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当金と合計
した配当優待利回りは約1.11%となります(一部予想ベース)。

業績を確認していきます。
■2012年12月期 売上高 14.3億円、経常利益 0.4億円 EPS 9.9円  
■2013年12月期 売上高 34.7億円、経常利益 8.1億円 EPS 105円  
■2014年12月期 売上高 45.6億円、経常利益 12.4億円 EPS 131円 
■2015年12月期 売上高 55.4億円、経常利益 9.3億円 EPS 56.7円 
■2016年12月期 売上高 88.4億円、経常利益 14.5億円 EPS 159円  
■2017年12月期 売上高 85.5億円、経常利益 18.2億円 EPS 216円 ce 
□2017年6月中間 売上高 49.0億円、経常利益 10.3億円 EPS 107円 ce 

2016年12月期の売上高は前期比59.6%増の88.4億円、経常利益は同54.7%
増の14.5億円となり、期中で為替の円高を理由に減額修正したものの、結局
は期初予想水準をクリアして、5割もの増収増益を果たしました。台湾工場の
新設および主力の三本木工場の生産力増強が寄与したほか、半導体市況好調
と4Q の円安戻りにより、最後に数字を伸ばしております。

進行期である2017年12月期の売上高は微減の85.5億円、経常利益は25.8%増
の18.2億円と続伸を予想しています。今期は既述2工場のフル寄与が見込まれ
三本木工場は月産20万枚、台湾工場は同10万枚・計30万枚の生産が続きます。
しかしながら、活況が継続する半導体市場は2017年も5%の成長、またNAND
・ファンドリーの設備投資に関しても10%程の成長が見込まれる大活況状態の
ため、既にフル稼働・フル生産状態が続く当社生産工場は生産能力の限界を迎え
ているため、新品ウエハーの連れ高による単価アップに期待する形となります。

なお中計として、3年後の2019年12月期に売上高92.4億円(CAGR1%)、営業
利益は24.3億円(CAGR16%)を予想しています。算定根拠については台湾工場
が来期のボトルネック解消により多少生産能力が改善することは見込んでいる
ものの、現在の生産能力をベースにみているため、保守的な予算と思われます。
利益率が一気に改善しますが、為替も107円想定のため、半導体需給ひっ迫に
よる単価増を見込んでいるものと推察されます。ただここからの数字上乗せに
関しては、新工場建設などの投資を伴った中国市場開拓の画が具体的に見えて
来てから・・・の話になろうかと思います。

当社はそもそも、半導体向けリン酸等の化成品を取り扱うラサ工業(4022)の
有力な一事業でしたが、2010年に同社が本事業から撤退したため、リサイクル
事業の永輝商事の支援の下、同社から三本木工場を賃貸し続けることを約し、
独立して、一昨年の2015年3月にマザーズ市場への上場を果たしました。なお
他にも同社の営業部門が独立し、上場した会社がラサ商事(3023)となります。
当社もラサ商事も既に親分のラサ工業の企業規模を上回ってくることは、ほぼ
確実な情勢のため、有力子会社を早売りした富士電機のような雰囲気ですね。


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