ちっとも割安ではない直近IPO。 | なちゅの市川綜合研究所

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2014年に「上場ゴール」と言われたgumiが上場した後、しばらくの間は東証
の上場審査が厳しくなり、ひところは上場数も極端に落ち込み、どうやっても
達成できるガチガチの保守的予算で上場してくる会社が増え、公募・売出価格
も大変リーズナブルなものが多かったです。それでも数多の「上場ゴール」案件
に懲りた個人投資家はなかなか手を出さず、さすがに初値は多少は飛ぶものの、
あとは下落して→ひたすら底ばい、ということが少なくありませんでした。

ただその後の2016年辺りから、こうした少し鮮度の落ちた優良なIPOの底値を
物色する動きが出始めるとともに、一部の有名な個人投資家さんがこうした銘柄
でセカンダリーを狙う方法を急速に広めたため、ここ1~2年で上場した銘柄で
優良なものはフェアバリューかそれ以上に買われる傾向が鮮明になってます。
私も何十年と相場を見てきたわけではありませんが、新興市場のIPOなど初値は
ともかく、基本は3年くらい鳴かず飛ばずという方が多いですので、最近の物色の
強さには大変びっくりしています。

気を付けなくてはいけないのが、最近はまた公募価格自体の値付けが大変強気
になっているとともに、足許では上場審査が緩くなってきているようで、IPO
の中には早々に減額するものが複数見られるようになりました。gumi問題後
に上場してきた銘柄は、しばらくの間「業績修正=増額」だったのとは対照的です。

ということで、ここ一年位の間においては有効に機能した"鮮度の落ちたIPO
投資法"は少しずつ過去のものとなりつつあります。またあくまでgumi問題の
副産物という特殊背景を認識しておかないと、「初値が公募の1.3倍で安い」
とかそういうヌルい理由で、安易にセカンダリーに飛びついてしまうと、大火傷
しやすい局面になってきたことは、頭の片隅に入れておいた方がよいと思います。


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