私が普段節操なしに色々な数の銘柄を見ているのは、引き出しの数を
増やしておき、意味不明の暴落時にすぐに動くための判断の下地を
作っているという意味合いがありますが、その他にも自分が惚れた銘柄
の相対的な立ち位置を把握するという大切な役割があります。
どれだけ自分が惚れこんで数ヶ月~数年間値上がりを待った銘柄でも、
冷静にまわりを見回すと他の株の方が割安だったことは良くあります。
年率20%成長する株がPER20倍台で安いと言っても、年率8%成長する株が
PER8とかで売っていたら、前者は別に特別安いとも言えないでしょう。
しかも年率20%成長の株は進捗率が悪いと売られ、更に成長期待が剥落
すると今度は期待値の分も売られますので、半値8掛けの世界です。
一方で年率8%成長の株は多少進捗率が悪くても、成長期待が剥落しても
そもそも成長期待が薄いので、大して売り込まれることはありません。
悪材料が出た翌日に前日比数%下落して、織り込んで終了かと思います。
あなたなら年成長20%の株と年成長8%の株とどちらを買うでしょうか?
別にどちらを買っても良いのですが、わざわざ年成長率20%を選好する
のであれば、個人的には何か特別な理由付けがほしい気もします。
前置きが長くなりました。ここからが本題です。
まぁこのように俯瞰してみることは非常に重要だと思っておりまして、
これは株の銘柄選択に限らず、サラリーマンの勤め先選びも同じです。
世の中には勤務先が違うだけで、同じ様な仕事をしても給料や待遇が
全く違うことなんて山ほどある訳ですが、最初に惚れて入社した会社に
愛社精神だけでずっと勤務していたら、そんな違いに気づくことなく
「俺の会社は儲かってるのに給料低いな・・まっ、そのうち上がるだろ」
などと考えて思考停止し、結局大して貰えないまま終了というケースも
非常に多いのではないでしょうか。
私の前の勤務先の上司は、新卒の私にある日こんなことを言いました。
「この会社に居続けるにしても定期的に転職活動をして、自分がいま
やっているのと同じ業務を、他の会社でやったらいくら貰えるのかを
確認してから判断しなさい。新卒ならではの愛社精神や永年勤続から
くる思い入れは関係ない。その上で今の会社に残る方がわりが良い
とわかった場合に、そこで初めて今の会社に残るという判断をしなさい」
これは非常に心に残ったエピソードで、勤め先でも投資先でも何でも
相対化することの重要性に気づかされた言葉です。結局私はその教えに
従い、数年後にその会社を辞めて転職し、待遇もずいぶん改善しました。
実はその上司は昔は人事課におり、私の採用を決定した方でしたので、
最初は大変驚いたのですが、素直に聞いておいて良かったと思います。
ちなみに投資とは関係なさそうですが、こんなことも言われました。
「そしてもし居続けるという判断をした場合、今のお前は給料を貰い
すぎている可能性がある。他社ではそんなに貰えないんだから、逆に
お前の商品価値がもっと上がらないとバランスしない。要は今のお前
は世間様よりも努力の量が足りないということだ」
なるほどと思いました。
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*本記事の内容記述は、一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的とはしておりません。




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