HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AWのレビューだ。

実際には、このレンズはモデル撮影会で真価を発揮するレンズと捉えているが、いくつか試し撮りしてきたので、レビューする。

 

このレンズ自体の発売が2015年なので、実質はすでに10年が経過している。

このレンズには面白い経緯があって、いまは休刊になっているが(名目は休刊で実質廃刊と同じ)月刊カメラマンという雑誌で「間違いだらけのレンズ選び」というコーナーがあり、プロカメラマンが座談会方式で各メーカーのレンズにあれこれ話していくというコーナーがあったのだが、そこでこのレンズが酷く貶されていた。

 

つまりは、「このレンズは他社の同スペック製品と比べるととても見劣りがして30万円の価値はない。この程度で満足しお金を貢いでくれるペンタキシアン」ということだった。

製品自体の欠点をあれこれ述べるのは構わないが、ペンタックスのユーザーが馬鹿にされたような感覚が、ユーザーの心に火をつけた。

プロカメラマンが言ってる30万とは希望小売価格のことで実売は初値で23万、その雑誌が発売された頃にはすでに20万円くらいで買えたのに、古き希望小売価格を持ち出して、他社が実売30万前後で出している高級レンズと比較されて、ひどく貶されたわけだ。

だから愛好家からはネット上でいくつか反論の意見が出ていた。

大きなお世話だ、放っておけ、と

そういう面白い経緯があったレンズなのだ。

 

そもそもPENTAXを使う人は枠に拘らない。つまり野球でいえば巨人より広島カープ、車はトヨタよりもマツダ、ドラえもんで言えば出木杉君よりものび太、という具合に、必ずしも一番のものを使いたいわけではないのだ(個人の感想です)

確かにPENTAXのカメラやレンズはAFについては他社大手メーカーよりも遅れている。しかし、例え失敗が多くても綺麗に撮れたときの喜びは大きい。そういうことをカメラを一緒に体感していきたい人にはPENTAXは向く。

 

 

 遠景比較

 

70mm,135mm,200mmの3段階で代表でF4とF10での比較だ。カメラはすべてK-1。

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらも遜色のないほどキッチリ描写する。

 

 

 

 青や緑の比較

 

 

 

70mm, F10,ISO200,SS:1/160sec

 

70mm,F5,ISO200,SS:1/1000sec

 

 

青や緑の色合いもよく、すっくりした感じだ。適度にコントラストもつくしちょうどいい。

 

 

 

 

 開放での描写

 

 

やはり、そのレンズの真価を発揮できるのは開放だ。なんでも開放で撮ればよいわけではないが、開放の能力というのは、大は小を兼ねるというように、そのカメラの真髄だ。下のはすべてF2.8開放だ。

 

 

街中スナップ。ちょっとミニチュアっぽい感じはするが、ミニチュアモードではない。

 

 

 

 

イルミの丸ボケの確認としてあえて街路樹を目標にしてイルミをボケさせてみた。

うるさくもなく、綺麗なボケだ。

 

 

 

神社。こちらもかなり雰囲気のある描写が得られる。

 

 

 

 

バイク。質感も高くて表現しにくい黒やダークグレーの領域も見事に再現している。

 

 

 

バイクの頭狙いでボケ具合を確認。雰囲気的に柔らかくもシャープな写りだ。

 

 

 

 

 

帆船のアップだ。レンズの線の細さ、柔らかさ、硬さを見るには、こういう線の細い被写体で比較するのがよくわかる。

紐の一本も触りたくなりそうな線の細さだ。

 

 

D FA★ 70-200mmF2.8は現代的な写りでありながらも、どことなく線の細い描写もするし、開放からきっちり描写してくれるのでとても頼もしいレンズだ。現代的なレンズというのはあえてカリカリ、シャープに、がっちり写す傾向にあるが、このレンズは

その中でも特に、線の細さや柔らかさも兼ねそなえる。

 

D FA★ 70-200mmF2.8は自信を持ってお勧めしたい。