地域コミュニティに関心がある。きっかけは福岡にあった
デンジン大学。街をキャンパスにするという新たな試みだそうだ。シブヤ大学が元だというが、これについては、別で記事を書きたいと思う。
仙台に越してから、同じような取り組みを探してみた。すると、地元東京に、
にしがわ大学(通称:にわ大)を見つけた。早速学生登録を済ませた。
これが一昨年のことだった。仙台ということもあり、定期的に参加することは難しいが、東京に用事があって都合がつくとき、参加している。
先日は、といってもかなり前のことになるが、
立川競輪場を舞台とした授業に参加してきた。
競輪をする人にとって立川競輪場は「聖地」とのこと。立川出身のわたしは一度も足を踏み入れたことがない。
朝、モノレール立川駅広場に集合することになっていた。集合場所に近づくと、フラッグをもったにわ大のスタッフを目にする。これが初めてではないが、ちょっとシュールな光景に映るのは私だけだろうか。
集合時間に3分ほど遅れてしまったのだが、ほとんどの参加者は先にいったとのこと。5分前行動が身についているのか、競輪によほどかけているのか、気合十分。その場には数名の参加者がいた。まだ来ていない一人にスタッフが連絡をしているが、連絡がつかないようで、キャンセル扱いとなった模様。遅刻・ドタキャンはいけません。
さて、モノレールの広場から階段で降りると、そこに立川バスが停まっている。行先はもちろん立川競輪場前。無料送迎バスということもあり、バスはあっという間に満車。そのほとんどがおじさま方である。ここに、にわ大参加者が乗り込む。若い。女性。バスのおじさま方は興味津々。自然と会話が始まっていた。慣れない人がついつい「怖い」と思ってしまうのも仕方がない。

立川競輪場には10分ほどで到着した。駅から北にのびる立川通りを進み、立川税務署前の交差点を右にまがると、いよいよだな、と不思議な感覚がした。違う世界へと続く道。もう後戻りはできない。自分でも少しオーバーかと思うが、そんな感覚であった。通りには誘導棒をもったおじちゃんスタッフが等間隔に立ち、バスを誘導している。これも初めて見る光景である。
立川競輪場につくと、われわれは通常入るゲートではなく、いわゆる関係者用の通用口から入場した。普段かかる入場料50円得をした。
今日の授業の参加者(生徒)は20名程度。その他、スタッフが4名。競輪場の関係者(先生)が1名。25名が輪になって何やらしているのだから、一般のおじさま方は、何をしているのだろうと気になるのも仕方がない。
場内写真撮影禁止のお達しが出されたため、写真でその光景をお見せできないのが残念である。
ちなみに、
にしがわ大学のFaceBookページには当日の写真が多くアップされているので、ご参照あれ。
簡単なレクチャーが済むと、バンクを見に行った。一般のおじさま方はぞろぞろと列をなして歩くわれわれにやはり興味があるようだ。「何してんだ」「何のあつまりだ」としきりに話しかけてくる。「にわ大という団体の授業で・・・」と各自応答しているようだが、「大学なのか」「学生さんか」とさらに聞いてくる。わたしにも聞いてきた。「にわ大」は高等教育機関としての「大学」ではないが、「そうです。大学の授業です」と答えておいた。「学生なのに。偉いな。」という反応はどういう意味だったのだろう。我々がきているのは「競輪場」である。
競輪のバンクに話しを戻そう。バンクはやはり急だった。角度は、31度。噂には聞いていたが、実際目の当たりにするとその角度に驚く。前回、
にわ大の授業ではこのバンクを実際自分の自転車で走ったそうだ。うらやましい限りだが、その時の参加者はきっと急斜面にある種の「怖さ」する覚えたのではないだろうか。それほどの斜面であった。
立川競輪は公営であるため、職員さんは市の公務員。今回の授業では、前半部分の説明は立川市の職員さんがしてくれた。所属の正式名称は、公営競技事業部。
バンク見学後、場内の各施設を案内していただいた。近年では、女性や家族づれも増えてきていることから、分煙されていたり、女性専用スペースが設置されている。我々が今回会場にしたのは、通称「ロイヤル」と呼ばれる部屋の隣である。一般観覧席は場外と室内に分かれる。場外は無料なのだが、室内への入場は500円かかる。2階(禁煙)、3階、4階に約1500席準備されている。5階のロイヤルルームへの入場は5000円。「ロイヤル」には個人用中継画面があり、競輪場スタッフも常駐しており、飲み物も提供される。何より車券(競輪は“馬”ではないので“車”券)購入場所が一般客とは別であるため、混雑を避けられ、実に優雅な競輪観戦が可能なのである。
さて、後半の授業は、ロイヤルと同じ階にある会議室にて行なわれた。ロイヤルの隣だけあって、眺めはロイヤルと同じ。贅沢な「教室」であった。内容は、競輪新聞の読み方を教わり、実際に予想してみるというもの。お金をかけるかどうかは個人の判断に任されているが、車券販売機が真横にあり、予想もしているのだから、いきつく行動は決まっている。
後半の先生である鈴木先生(日刊プロスポーツ新聞社)は、競輪の歴史から教えてくれた。
立川競輪場は、1951年に立川市営の競輪場として開設されて以降、60年以上様々なドラマを生み出してきた。
競輪の歴史についてはこちらのページにも詳しい
競輪ヒストリー。
スポーツ新聞の競輪欄は実に奥が深い。長年の工夫がちりばめられている。そのせいか、やはり素人目には読みにくい。情報を読み取るスキルが必要なのである。情報量をより多くするために単語が略されている。一例をあげれば、「カマシ」(先行選手の戦法の一つ。他の先行選手がスピードを上げないうちに一気に踏み込んでそのまま先行してゴールを狙う奇襲作戦)、「自力」(先行(逃げ)や捲りなどで、自ら仕掛けるタイプのこと)、「ずぶずぶ」(番手・3番手の選手が1着・2着に入り先行した選手が1・2着に残れなかった時に使う表現)。
おじさま方はこの情報を瞬時に読み取り、独自の予想を立てる。
その後、授業では、グループに分かれ、予想を立てた。手持ちの5万ポイントを最終までの3レース分でどこまで増やせるかというゲームである。グループワークの傍ら、今学んだ競輪新聞読み取り術から、自前の軍資金で個人戦に走る参加者もいた。わたしもその一人。
車券販売機が部屋を出てすぐのところにある。そのため、参加者の部屋の出入りは大忙しの厨房のようだった。講師の先生も買いに行っていたのが、妙にリアルだった。
今回の授業では、バンクを実際に走ることは無かったが、レース中、コースの内側からレースを観戦するという特別体験があった。迷路のような地下通路を進むと、コースの内側に出られる。レースに影響があってはならないため、私語厳禁。持ち物にも制限があった。内側から見るという経験はこの先二度とないと思う。
最終戦は、予想が覆るレース展開となり、実に盛り上がった。でも、予想は外れた。

競輪場はやはりディープだったというのが感想だ。立川駅北口から北東方面。航空自衛隊立川駐屯基地や住宅街が広がるこの方面は、商業施設が新たに建設されたり、開発によって集客施設ができる隙間もない。不意に足が向き、たまたま通るなんてこともない方面である。
立川通りを高松町のほうに進むことがあったとしても、通りからは少し中に入ったところにある競輪場は、通りから見ることはできず、立川競輪場入口という看板のみ目にすることができる。
競輪場の周りには塀があり、外界と遮断されているような印象さえ受ける。全国にある44の競輪場の立地はどうなのだろう。たとえば京王閣は、京王相模原線京王玉川駅すぐにあるものの、調布駅からは少し離れたところにある。住宅街に位置しているという点では立川競輪場と同じ立地といえよう。
現在立川市ではこの競輪場のリニューアルを
構想中であるという。ファミリー層など新たな客層の獲得が目指されている。暗く閉塞的なイメージを払しょくし、市民に愛される憩いの場として、競輪場を位置づけたいようだ。既に他の競輪場でもリニューアルが行なわれているため、その流れにあるのだろう。
確かにディープだと感じたのは、今の客層の影響もある。一定の客層の憩いの場となっているのは間違いない。あの場にあらたな客層が入るとどのような変化が起きるのだろうか。今後も注目していきたい。
最後になるが、充実した内容であったのも、にわ大のスタッフが綿密に打ち合わせをしてくれたからであろうし、進行中も何かと気を配っていたのが印象に残った。また仙台から参加したい。
たちかわ競輪公式サイト東京にしがわ大学公式サイト