正受庵本堂の回廊の東南隅に風雅な水石があります。
この水石は、正受庵の過去帳に「この水石は、当庵第一の什宝である。寺領並びに一寺建立の代わりに拝領した什器なり」と書かれていると言います。
正受老人が、江戸小石川の至道庵の師無難の入寂をみとって飯山に帰られた時、飯山藩主松平忠俱公が大いに喜び、一寺を建立し、新田二百石取りの地を寄進したいとの申し出を断ったと言います。
この一寺と、寺領二百石の代わりに拝領したのが、お城の茶室の庭にあったこの水石でした。
なお、この水石は「剣ずり石」と言うのだそうです。
どうして、こんな形の石が出来たのでしょうか?
これは「甌穴」(おうけつ)といって、川底の岩にたまたまできた表面のくぼ地へ石が流れ着き、それが水流により回転することによって岩がすり減り、滑らかな、丸いくぼみができたものだと考えられます。