人間は
そんなに簡単に
「死ぬ」なんてことはない。
あんたなんて
自分で「死ぬ」事も
自分で「生きる」事もできない
トイレのピエタ
ビルに這いつくばって
窓を拭く、虫。
かつて
情熱を注いでいた絵も
いつの間にか描くのを辞め、
生きている事に鈍感になった。
介護に疲れた金魚。
庇護してくれる者はなく、
心は荒み、攻撃的になった。
世界に悪態をつき、
生きる事に嫌気がさしている。
そんな
ある日、二人は出会った。
虫は、
病院に呼び出されていて、
自分が癌だと、
自分の余命が
後わずかと知らされる…
***
「生きている」とは何だろう?
どんなに頑張っても
死なない時は死なないし
どんなに頑張っても
死ぬ時は死ぬんだ。
しかし
死を予感することで
人は生きていることを実感する。
そうなってしまったら
時は遅いけれども
自分の意思は
自ずと生まれてくる。
「失う」という事に対して
心の抵抗は強い。
「満足」してしまうと
大事なものでも
価値を感じなくなってしまう。
私も
「生きている」という事への
感謝を疎かにして
日々を過ごしてしまっているので
反省です。
自分の意思はなく、
生きているのであれば
それは死んでいる事と同じではないか。
***
世界は変わらない。
世の中はいつも同じ目線で。
だから世界は残酷だ。
変えられるのは自分だけ。