「マドンナ」 奥田英朗

 

40代のサラリーマンの日常を描いた短編集です。

しかし、20代の女性が読んでもおもしろい内容だと思います。

私は面白かったですよ。

 

若葉マドンナ

若葉ダンス

若葉総務は女房

若葉ボス

若葉パティオ

 

それぞれの話では、「二つの世界」が出てきます。

会社と家。男と女。中年と若者。都会と田舎。

 

読んでみて率直な感想は、男っておじさんになてもコドモなのね・・・。

また、サラリーマンは結局会社の一部。いろいろ従わなくちゃ自分を守っていけないものだ・・・。

でした。

私もサラリーウーマンの一人ですから、なんとなく共感もできました。

 

一番印象に残ったのは、「マドンナ」と「ボス」です。

 

「マドンナ」は、男の隠れた心情がリアルに描かれていて興味深かった。

部下の女性に恋をしてしまい、男の部下や妻には恋心がバレバレ。最後はふとしたことで失恋がわかりおさまるという話。

"四年生大学を出て総合職になった女子にとって、結婚と出産って2大ハードルなんですよ"という言葉が頭によく残りました。

 

「ボス」は、やり手の女上司と必死に戦うサラリーマンが主人公で、その女上司は決して弱音を吐かないし、部下に弱みを見せない。しかし、ある日その女上司が妻と同じように普通の歳相応の女性であることを悟るという話です。

 

奥田英朗さんの作品の「ガール」は、30代キャリアウーマンを主人公にしていたので、そちらと読み比べてみるのもおもしろいと思います。