「みんないってしまう」 山本文緒

 

短編集です。四つ葉

 

タイトルにもなっている"みんないってしまう"の中ではこんな一節があった。

 

"ひとつ失くすと、ひとつ貰える。そうやってまた毎日は回っていく。幸福も絶望も失っていき、やがて失くしたことすら忘れていく。ただ流されていく。思いもよらない美しい岸辺まで"

 

とても印象的でした。

歳を重ねるにつれ、時間はだんだん早くなる。物事は想像以上に早いスピードで流れ、手の中からこぼれおちていく。残された自分を見つめることができた時、本当の自分に出会えるのだろう。

 

私が一番心に響いた短編は、

"裸にネルのシャツ"でした。

なんとなく、共感できる部分があった。

 

それぞれの短編では、あなただったらどう選択しますか?あなたの幸せはなんですか?と問われている気がする。答えは千差万別。答えは読み手の数だけ。