清流、時には洪水も必要 | 〜 シゲさんの「疾風勁草」ログ 〜

〜 シゲさんの「疾風勁草」ログ 〜

2014.6.1~ReNew!

〜Photologue〜

写真一枚からの日常ログを書き綴っていきます。

それと、、、(不定期になりますが)
東日本大震災から丸三年が過ぎた今、自身で経験したボランティア活動を一枚の写真から振り返っていきたいと思います。

~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~


ご近所さんが最近お庭を作ったということで、中を見せてくれました。


こちらにある石群は、この方の実家、盛岡から運んできたもの。

実家を引き上げる際、親の代から受け継いだ石群とのことです。


この石群を滝として再生。

素晴らしいお庭を作られました。

~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~

この水。

自宅庭を掘って出した井戸水です。

そして、ポンプを使って水を循環浄化させ、このような立派な滝をつくっていました。


ご近所から、始終水の音が聞こえるというのはいいものです(笑)。


~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~

滝の水は庭の淵を一周させています。

このように水の流れに形を入れるため、あえて水中に石をいれて段差をつくっていました。


~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~

この水の流れの終点はこの池。

赤い金魚が数匹ゆうゆうと泳いでいました。


そして、鹿威し(ししおどし)。
~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~


「ししおどし」は、農作物などに被害を与える鳥獣を威嚇し、追い払うために設けられる装置類の総称をいうそうです。竹筒で音を出すしくみは添水(そうず)。こちらも滝の水の音とともに、近所に風流な音を響かせています。


最後に、この水辺に菖蒲を植えられていました。
~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~

鮮やかなるスカイブルー。


この菖蒲の生え際は、水が澱まないような仕掛けをただいま考案中とのこと。


   *   *   *


思いがけずに、毎日、水の流れと、ししおどしの音を聞いて暮らせるようになりました。


この水の音。


”じゃー”というのではなく、


”コボコボコボ”という感じで聞こえます。


ちょうど滝の下や川の流れの段差の箇所に、水の音が響くように石が組まれていて、その置き方に各所工夫がなされています。


それはそれは熱心に教えて頂きました。


今年定年を迎えたこの方。

通信教育で「庭園管理士」という資格を取り、この庭の設計を自ら行なったそうです。


こんな優雅で愉しみある趣味を持つことは素晴らしいです。

ぜひ見習いたいものです。


週末は色んな方がこのお宅前で立ち止まり、水の音を聞いています。

私も、犬の散歩や通勤途中、いつも清々しい気分にさせてもらっています。



   *   *   *



さて、この庭園を見て思い出した一話があります。


城山三郎著の「打たれ強く生きる」という本の中にあるひとつのエッセイ。

本田宗一郎宅の日本庭園での話です。


滝のある人口渓流をつくって、春先に三千尾のアユの稚魚を離す。

そうして育てたアユを釣って、その場で焼いて食べてもらうという、野趣があって自然の釣りに近い本田流おもてなしのパーティ。


このアユ。本田さんらしくいろいろ研究して育て上げたそうです。

でも野生のアユとどうやっても一味ちがうと。


その違いは・・・・・


 ”洪水がないからですよ。。。”



だと。


「洪水は被害をもたらすのだけれども、一方では、川底や石などについていたもの、たまっていたものを洗い流す。それで川がまた生き返る。自然には無駄なものというのがないんですね」


もう一つ。


「いくら水が循環していても、ただ、きまった通りに流れているというだけでは、だめなんだな」


時には、、、

定められた流れに任せず、洪水を起こしてみることも必要であると。


本田流、凝りに凝った趣向の行き着く先の考え方。
停滞するな、澱んでしまうぞ、という力強いメッセージです。


ご近所さんの出来立ての庭園と清流を拝見し、停滞を許さぬ大事なメッセージを思い起こしました。


-END-