昨日、庭に出たら、我が家の若き「辛夷(こぶし)」が花を咲かせていました。
この「辛夷」は前住人の方が植えられたもの。
3年位前からぽつぽつと花がつき、今年はこれまでになく沢山の花を咲かせてくれました。
まだ背丈は2m50cm位。
青年のようなすらっとした立ち姿です。
辛夷の花と言えば白をイメージしますが、こちらはピンク。
山里にあるガッツある野性的な辛夷とは趣が異なり、今のところは都会的でスタイリッシュなイケメンです(笑)。
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この「辛夷」を比喩した場面が印象的な小説があります。
浅田次郎著の「壬生義士伝」。
これは新撰組の小説なんですが、
主人公は土方歳三や近藤勇でもなく、南部藩(盛岡)足軽出身の「吉村貫一郎」という侍です。
ここでいう「義士」とは、
当時の藩でも主君へのものではなく、「家族への思い」ただそれだけです。
--- 自分の家族を守る。
この忠義のために、新撰組の中を命懸けで生き抜いた壮絶な武士の物語です。
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さて、その「辛夷」の場面。
「春を先駆けて咲く辛夷の花がわしは好きでがんす。」
「あの花っこは北風に向かって咲ぐ。
他の花は皆陽気が温とうなってからお天道様に向かって咲くのに、
この花は北に向かって咲ぐ。」
「南部の武士は、みごと石ば割って咲げ。
盛岡の子だれば北さ向かって咲げ。
春に先駆け、世にも人にも先駆けて、
あっぱれな花こば咲かせてみろ。」
最後の文は吉村貫一郎が地元盛岡の子供らに諭した言葉。
豊かな西国の人間に伍して生きるのは並大抵の事ではないぞという、発奮を促す言葉です。
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「辛夷」と「石割桜」の花の咲き方は、東北人・南部人の忍耐強さをよく表していると思います。
大事なのは花を咲かせるということ。
耐えてしのんでも自分なりの咲き方で花を咲かせるということ。
花や木などを通して、自然から教えられること、、、沢山ありますね。
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