夜のコンビニって、なんだか特別な空気がある。
明かりは明るいのに、外の冷たい闇とくっきり分かれていて、
自分がぽつんと浮かんでいるみたい。
今日も寝る前にホットミルクでも作ろうと、
コートの襟を立てながらコンビニに入った。
店内はほとんど無人で、流れるBGMがやけに甘く響く。
牛乳を手に取ろうとした瞬間、誰かが横をすっと通り過ぎた。
すれ違うときにふわっと漂った、静かで落ち着いた香り。
それだけで、身体の奥で何かがピクリと反応してしまった。
こんなささやかな気配にまで心が揺れるなんて。
“触れられた”わけでもないのに、コートの内側が少し温まる。
レジで並んだとき、その人の背中がすぐ前にあって、
ふと見えた首筋に思わず視線が吸い寄せられた。
厚手のニットのすき間からのぞく、
冬の男の人の体温みたいなものが、
ほんの一瞬、私の想像をくすぐる。
もちろん何かが起こるわけじゃない。
ただ“同じ空気を吸っている”その数秒だけが、
妙にドラマチックに感じてしまうのだ。
会計を済ませて外に出たら、
夜風が思ったより冷たくて、
さっきまでふわっとしていた胸の熱が
一気に鮮やかに感じられた。
静まり返った道を歩きながら、
さっきの香りと、背中のラインと、
わずかな距離の温度を思い返す。
夜のコンビニって、
ただ買い物するだけの場所じゃなくて、
“ちょっとだけ心がほどける時間”を
くれる場所なのかもしれない。
今日の妄想はこれくらいで十分。
ホットミルクの香りに包まれながら眠ることにしよう。
