今日は思い切って、平日の美術館へ。
人影はほとんどなく、館内は静寂そのもの。
足音さえも、やけに大きく響く。
広い展示室をひとりで歩くと、絵や彫刻の前に立つだけで心がざわつく。
静かな空気が、肌にじんわりまとわりつくようで、
体が少し火照るのを感じた。
光の差し込み方や、展示物の陰影に目を奪われる一方で、
ふと、誰かが隣に立って一緒に鑑賞してくれたら
どんな気分になるだろう、と考えてしまう。
廊下の端で一息つくと、背筋がぞくっとするような感覚があった。
ひとりなのに、心の奥で“触れられるかもしれない気配”を勝手に想像してしまうのだ。
椅子に座りながら、手を膝に置く。
その温もりだけで十分なのに、頭の中では、誰かの存在がそっと隣にいるような気がする。
視線や呼吸を共有することはないのに、胸の奥がじんわり熱くなる。
館内を出るころには、体も心も少しだけ満たされていた。
静寂の中で、妄想がひそかに甘い火照りをくれたのだと思う。
美術館って、作品だけじゃなくて、
誰もいない時間の“余白”まで楽しむ場所なのかもしれない。
