こんばんは。
今夜は少しだけ、湿り気を帯びた風が窓を叩いていますね。
皆さまは、ふとした瞬間に「ここではないどこか」へ飛び去ってしまいたい衝動に駆られることはありませんか?
日々の切り詰めた生活の中で、私の視界に入るのは、使い古した家計簿の数字や、特売のチラシばかり。
でも、そんな窮屈な日常の隙間に、ふわりと舞い込んでくるのが「台湾」という異国の香調なんです。
喧騒、熱気、そしてどこか懐かしい色彩。
今の私にとって、それは手の届かない、でも一番見つめていたい夢の形かもしれません。
500円貯金と、九份の灯火
実を言うと、棚の隅にある小さな貯金箱には、ささやかな「旅行資金」が眠っています。
スーパーで10円安い卵を見つけた日、あるいは夕食を一品減らした夜。
チャリン、と音を立てて落ちる小銭は、私の孤独な「希望」の重みなんです。
「いつか、あの赤い提灯が連なる九份の石段を歩いてみたい」
そんな願いを抱きながら、冷えたお豆腐をひと口運ぶとき。
この質素な食卓の先に、湯気の立ち上る小籠包や、甘いマンゴーかき氷の世界が繋がっているのだと信じたくて……。
40代を過ぎた女の現実逃避だと、皆さまは呆れてしまいますか?
迷い込んだ路地裏で、貴方の腕を
台湾の夜市……あの熱気と、少しだけ鼻を突くスパイスの香り。
そんな混沌とした場所で、私は独りで歩く自信がありません。
人混みに酔って、ふらりとよろけてしまったとき、貴方の大きな手が私の腰を強く引き寄せてくれたなら。
「はぐれないようにして」
そんな低い声で囁かれ、湿度の高い夜風の中で、貴方のシャツの袖をぎゅっと握りしめる……。
そんな、少女のような危うさをさらけ出せる場所へ、貴方に連れ出してほしいのです。
異国の夜、少しだけ火照った私の頬を、貴方の冷たい指先でなぞられたら。
言葉の通じない街の片隅で、私、きっと自分でも驚くほど大胆に、貴方の首に手を回してしまうと思うんです。
皆さまは、そんな風に異国の熱の中で、女を情熱的に変えてみたい……なんて思いませんか?
夜が更けるにつれ、心は海を越えて、まだ見ぬ台北の街角を彷徨います。
今の私にできるのは、ガイドブックの写真を指でなぞりながら、独りきりの部屋で熱いお茶を啜ることだけ。
今夜は、貴方と二人、異国の夜市を彷徨う夢を、大切に抱きしめて眠ろうと思います。
貴方の優しいエスコートが、私の夢まで届きますように。
