アニメ映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」。

 2016年アメリカ、トラヴィス・ナイト監督。

 

  

 

          

 

 封建時代の日本で、三味線(おそらく津軽三味線)を弾いて折り紙を自在に操る少年クボは、両親を殺した祖父や叔母たちを倒すため、母親によって命を吹き込まれたサルや、父親の家来だったと名乗るクワガタの姿をした甲冑侍と共に旅に出る。

 やがて母親が言っていた三種の武具を手に入れて対決に挑むが……。

 

 びっくりしたのは、本作がアメリカ人らによって作られたことだった。ときどき、中国ふうの衣装や髪型の人物が登場するものの、過去のいい加減な日中ごちゃ混ぜ映画に較べると拍手を送りたい出来映え。

 

 作品としては、「西遊記」「ドラゴンボール」「ネバーエンディングストーリー」などの影響を受けたんだろうなという印象があったが、それをベースにしつつも全く新たな作品を生み出したとは言えまいか。特に津軽三味線を弾いて折り紙を操るシーンは幻想的で美しく、刀や弓で戦う場面よりももっと見せてほしかった。

 エンディング曲はジョージハリスンが作ったビートルズの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」。いいセンスしてるぜ。

 

 個人的には、津軽三味線はロックであり、もっと広く知られるべきだと思っていて、拙著では「迷犬マジック」の中で路上三味線奏者を登場させたし、邦画「オーバードライヴ」も面白く鑑賞させてもらったのだが、既に一部のアメリカ人クリエイターたちが目をつけてたんだな、とうれしい気持ちと、先を超されてどうするんだという悔しい気持ちがない交ぜになっているところでございやす。

 なお、監督さんの父親はナイキの創業者で、しかも本作を作ったアニメ製作会社の経営者でもあるとのこと。息子である監督さんはCEOという立場らしい。

 

 こちらは映画「オーバードライヴ」の予告編。この作品の影響で拙著「迷犬マジック」のエピーソードが生まれたのでした。