ドラマ「大河ドラマが生まれた日」。

 

 

 NHKの大河ドラマ第一弾「花の生涯」の制作にかかわったアシスタントディレクター(生田斗真)らが数々の困難を乗り越えながら最終回に至るまで。

 

 60年代前半はまだテレビは映画業界から色物扱いされていて、大手映画会社の五社協定により売れっ子俳優たちはテレビに出演するのが難しかった時代。

 そこで歌舞伎界の大御所俳優を口説いて主役に据え、さらには人気映画俳優らにも何度も頭を下げて出演してもらうことになったはいいが、悪天候で飛行機が欠航して俳優が大幅に遅れたり、連日徹夜での撮影に俳優の家族が怒り出して降板話が浮上するなどトラブル続き。

 しかし、スタッフが知恵を出し合って撮影時間を短縮する方法を編み出すなどして一つずつ困難話を乗り越えてゆく。

 ラストシーンとなる桜田門外の変は、東映の太秦撮影所に出向いてドラマを毛嫌いしている責任者に日々頭を下げて説明を続け、ついに了解を取るが、限られた予算の中でどうやって雪を降らせるかという難題が立ちはだかる。

 

 どこまで実話に忠実なのか判らないが、ただのイエスマンだと思っていた上司のプロデューサー(阿部サダヲ)が実は情熱を持っていて決してあきらめない男だったことが判ってくるくだりなど、登場人物の描き方が印象的。安手のドラマなどだと、ただ単に嫌なやつが登場して主人公と敵対したり、身近な人を死なせたりして無理矢理の山場を作りがちだが、本作では、そういうあざとい演出はなく、主人公と対立したり冷ややかな態度を取ったりした人たちもそれぞれがプロとしてきっちりやるべきことはやってくれるところも観ていて気持ちがよかった。

 全くジャンルが違うが、帰還困難になった宇宙船をどうやって助けるかをみんなで知恵を出し合って一つずつ問題を解決してゆくさまを描いた映画「アポロ13」を思い出した。