2021.8.01(日)
 陸上男子100mはイタリアのジェイコブズ選手が9.80秒で金メダルを獲得。本命視されていたアメリカのブロメル選手が予選で姿を消し、決勝ではイギリスのヒューズ選手がフライングで失格になるなど、波乱の中でも平常心でパフォーマンスを発揮したメンタルが立派。個人的には予選で9.83秒をマークし決勝入りを果たした中国のスー・ビンティエンを見て、アジア人でもやりようによってはアフリカ系選手ばかりがひしめくスプリント界でも活躍できることに希望の光を見た思い。

2021.8.02(月)
 自転車女子個人ロードレースで金メダルを獲得したオーストリアのアナ・キーゼンホーファー選手は、全くマークされていなかった数学者。ロードレースでは先頭に立つと風圧を受けてスタミナを奪われるので、同国選手同士が一列になって先頭を交代してゆくのがセオリーなのだが、キーゼンホーファ選手は早い段階から単独で飛び出し、常識を覆してそのまま優勝してしまった。しかもこれはたまたまではなく、彼女は自身の体力、当日の気温や気圧、コースなどを総合的に検討して、この作戦で勝機ありと判断したとのこと。マンガの世界ではときどき学者肌の強敵が出現して主人公を苦しめる展開があったりするが、本当の五輪の舞台でそれを成し遂げる人かがいるとは。常識とは打ち破るためにある。


2021.8.03(火)
 ボクシング女子フェザー級の入江聖奈選手が金メダルを獲得。小学生のときに母親が持っていた「がんばれ元気」を読んだことがきっかけでボクシングを始め、中学では陸上部員としても長距離走で活躍、強靱なスタミナを身につけて今では平常時の心拍数が30台という強心臓だとのことで、今回も相手は3Rにはバテてくることを見越して作戦を立てていたそう。伝統派空手のような前後にステップする戦い方によって、相手から連打をもらわず、試合を支配していた印象。今から殴り合いをするというのに入場時はいつもにこにこ。これも強心臓ゆえか。カエルが大好きで、ボクシングはこれで引退してカエル探しの旅をしたいとのこと。


2021.8.04(水)
 レスリング女子62キロ級で川井友香子選手が金メダルを獲得。実姉はリオ五輪金メダリストの川井梨紗子選手で、ご両親共にかつて活躍したレスリング選手というレスリング一家。二連覇を狙うお姉ちゃんも既に決勝進出が決まっており、姉妹そろって金メダルの可能性が広がってきた。ちなみにお姉ちゃんはあの伊調馨選手に勝って引退に追い込んだ人で、今回の準決勝で前回のリオ五輪で吉田沙保里選手に勝った強敵も倒している。

 野球は5-2で韓国に勝利して銀メダル以上が確定。投手陣もすばらしく、終盤のツーアウト満塁という山場で山田哲人選手がホームラン級のフェンス直撃二塁打を放って走者一掃の三打点。神様、仏様、山田様。しびれました。

2021.8.05(木)
 レスリング女子57キロ級で川井梨紗子選手が金メダルを獲得。前回のリオ五輪で金メダルを獲得したときはさほどマークされておらず勢いで頂点に立った面もあるが、各国の強豪たちから研究された上で、しかも女子レスリングのリーダー格としての重圧を乗り越えての金メダルは重みも増し増し。試合後にインタビュアーを務めた吉田沙保里さんに対して泣きながら「沙保里さんのやったことがどれほどすごいことだったかが判りました」と言っていたのが彼女のこの五年間を想像させてくれる。


2021.8.06(金)
 レスリング女子53キロ級の向田真優選手が金メダルを獲得。決勝の相手は堅固な守りからのカウンター攻撃が得意な中国の選手で、片足タックルを読まれて4ポイントを先制されたが、向田選手は落ち着いて戦ってその後は奪い返し、終盤はクラッチを切られたら負けという局面で耐え抜いて立ち上がり、場外ポイントを奪って勝利。まさに薄氷の金メダルだったが、絶対に負けたくないという強い気持ちが伝わってきて、彼女が立ち上がったときは見ているこっちも力が入って言葉にならないうなり声を出してしまった。それぐらいに見ている者を引き込む試合だったということ。


2021.8.07(土)
 レスリング男子フリースタイル65キロ級で乙黒拓斗選手が金メダルを獲得。決勝は残り10秒ちょっとのところで負けていたのでもうダメだと思っていたが、何とぎりぎりで片足タックルを決めて逆転。最後の最後まであきらめない姿勢に拍手。

 レスリング女子50キロ級で須崎優衣選手がが、金メダルを獲得。八村塁選手と共に開会式で旗手を務め、身長差50センチが話題になったが、旗手に選ばれただけあって全試合テクニカルフォール勝ちという圧勝の内容。まだ22歳ながらも、レスリングの大トリにふさわしい存在でありました。

 野球はサムライJが決勝でアメリカに勝利して金メダルを獲得。全体を通して投手陣が安定し、ここぞというところで打線が仕事をしてくれたお陰で、あまりヒヤヒヤしないで済んだ。これも稲葉監督の継投策と捕手の甲斐選手が投手陣の力を引き出すリードがあってこそ。久しぶりに野球の試合を見続けたが、やっぱり野球はいいスポーツ。再び五輪種目として復活することを信じてるぞ。