2021.1.3(日)
 映画 「旅立ち 足寄より」。09年、今井和久監督、松山千春原作。シンガーソングライター松山千春さんの自伝小説を映像化した作品。才能と人気があったからテレビでめったに歌わないなどのわがままが許された人だと勝手に思っていたのだが、実は彼を見出し、ときには叱ってくれた北海道のラジオプロデューサーさんなど、支えてくれた人々がいたのでした。北海道の風景をバックに彼の歌を聞くと、不思議と歌詞が立ち上がってくるはの、松山さんが北海道産の歌手であり曲だということか。いい作品だが、あの暗い終わり方はいただけない。恩人の死を乗り越えて人々を喜ばせるシーンで締めくくるなど、方法はあったと思うのだが。


2021.1.4(月)
 ドラマ 「当確師」。市長選挙の裏で暗躍する選挙屋(香川照之)と、選挙当事者の悲喜こもごもを描いた作品。以前、選挙コンサルタントという職業があって、選挙の行方を左右する力を持っているということを知って興味を覚え、ノンフィクション本をいくつか読んだことがある。敵陣営のスキャンダルを暴いたりするだけでなく、ネガティブな出来事をプラスに転換する手法など、実は大衆の意思というものは一握りの連中によってコントロールされていることを再認識。芸能人のスキャンダルなどでも、対処の仕方によって墓穴を掘ったり逆に好感度を上げたりすることはご存じのとおり。ちなみにアメリカ政府は大きな戦争に踏み切る決断をしたときに最初に呼ぶのは軍事の専門家ではなく、広告代理店だと言われている。世論操作こそが政治のゲームを決するということ。

2021.1.5(火)
 クマが住宅街に現れることが増えた理由として、好物のドングリが凶作だからとされているが、専門家によると、ドングリの出来不出来と出没被害の件数とはリンクしていないとのこと。考えられる本当の理由は、集落に隣接する里山を手入れする人がいなくなって草木が繁茂するようになったため、クマと人間との生息域を隔てる緩衝地帯がなくなってしまったためだとのこと。そういえばイノシシによる被害も、柵を作るよりも周辺の草木を刈った方が確実に防ぐことができたという研究報告がなされている。国や自治体はそちらの方に予算を使った方がいいのではないか。

2021.1.6(水)
 「家、ついて行ってイイですか?」の4時間半スペシャルがあったので録画して何日かかけて見ようと思っていたのだが、結局全部見てしまった。一般人の家を訪問して半生を知るだけなのに妙に見応えがある。テレ東さん、よく考えついたものだと感心。

2021.1.7(木)
 読者の方から版元経由でファンレターをいただいたが、後半はその方が所属する宗教団体の教義についてのレクチャーだった。お気持ちだけありがたく。

2021.1.8(金)
 映画「エクスペンダブル・ミッション」。15年イギリス、アラ・パイアヤ監督。一度は引退を決めた殺し屋の男(ゲイリー・ダニエルズ)は、売春組織のギャングとの間に生じたトラブルに怒りを募らせアジトを襲撃、かつての雇い主である裏社会のボスと対立することになり抗争がエスカレートしてゆく。かつてチャールズ・ブロンソンが演じた一人自警団ポール・カージーのシリーズみたいな話かなと思ってちょっと期待したのだが、ありがちなアクションが延々と続き、敵のボスの正体もはっきりせず、登場人物が無駄に多いなど、マイナスポイントだらけの仕上がり。あのミッキー・ロークがどうでもいい脇役の不細工おデブおじいさんに成り下がっているのも痛々しい。彼はどこで道を間違えたのか。


2021.1.9(土)
 午後から深夜にかけてドラマ 「教場」 「教場Ⅱ」 をまとめて鑑賞。長岡弘樹さんの原作小説を以前読んだとき、警察小説というジャンルがついに警察学校を舞台にしたものまで広がったことに驚き、何をどう描くのだろうと思ったが、本来は事件が起きてはならない場所なのにまれに起きていることもまた事実。そんな諸事件を〔確信犯的に〕凝縮すれば、サスペンスを加味した青春ドラマとして成立するということ。職務質問、取り調べ、ガサ入れなどについてのさまざまな手法を叩き込まれるシーンが個人的には興味深い。これらの局面がいい加減に描かれている刑事ドラマが多いぞ、と原作者さんも思っているはず。


 気が向いた方は、暇つぶしに一曲どうぞ。小学生の頃にインスタントコーヒーのテレビCMで知り、メロディがずっと頭にこびりついていて、後にロバータ・フラックさんの「キリング・ミー・ソフトリー」だと知った次第。平井堅さんもカバー曲をアルバムに収録しているが、何とロバータ・フラックさんご本人も録音に参加しているとのこと。同タイトルの映画もあって、この曲が使われていた。