Are You Syrious?っていうNGOのVPに会った。
一言でいうと、NPO、シビルセクターのパワーを感じた。
私は今赤十字で働いていて(赤十字は国連機関でもNGOでもない)、でも難民センターにはたくさん他の団体があって、赤十字以外が何をしているのか知りたくていろんな団体にアポを取った。
先週は医療系国際NGO、昨日は国連機関、今日は民間のNPOに話を聞いたんだけど、私はその中でも、圧倒的にNPOが弱いというイメージがあった。
まずはそれが覆された話。
NPOの強さその1はアドボカシーにあると思った。
もちろんNPOは自分たちで政策や制度を作ることはできない。だけど実際にその変化、影響を被るのが市民社会だってこと、それは策定側もわかってる。だから、市民の声は強いのだと実感した。
例えばこのNPOは、それまで難民庇護待機者の不安定な身分ではできなかった銀行口座の開設を可能にした。SNSやイベントを行ったんだって。本当に求められていることを実現するために、市民と行政とを繋ぐ場がNPOだって、わかってるようで忘れてた。
そして、大きな機関との違い。
昨日のIOMでもあったのは、大きな機関では何をするにも買うにも文書での申請が必要。プロジェクトも、自分たちでの提案もできるけど、たくさんの支部を見ている本部からおりてくるものの方が妥当性の高いプロジェクトを計画できるのは当たり前。だからそこで働く個人の裁量は、企画より履行の方にさかれがち。その方が、支部から本部への申請、本部から支部への許可、やっと履行、という長いプロセスを経なくて済むし。
だけど、NPOでは、やりたいと思ったことの意思決定が早く、小回りがきく。
例えば、このNPOは難民と市民との相互理解のためのイベントを行ったんだって。難民の子、クロアチアのザグレブの子、また別の町の子、っていうように、いろんな子たちを一挙に集めてパーティーみたいなことをしたらしい。多分これって、市民同士の繋がりがあるからこそできることで、機関だったらとっても難しい。
赤十字との違いを感じた部分もある。
前の日報でも書いたけど、赤十字はいろんなところから寄付で服やら靴やらをもらってる。それはこのNPOもそう。赤十字は、よくも悪くも、何をするにも制度やルールが必要。だから、服を配るとき、難民はサイズや服の種類しか指定できない。逆にいうと、みんなそのルールにしたがって均一にサービスを受けられる。
一方でこのNPOは、週に3回Free shopを開いてる。難民自身がその倉庫に入って、いろいろ物色したり、試着したりしながら好きな服をタダで持ち帰ることができる。
私が難民だったらという目線だけで言えば、後者の方がいいなと思う。
そして、政府には絶対できないけど大切なことをしている話。
このNPOの理念のひとつに、「難民の子たちがふつうの子と同じような暮らしを送れるように」っていうのがあるんだって。
だから難民センターで、月に一回その月の誕生日の子を集めて、誕生日パーティーを開いたり。
クロアチア語で出される宿題を手伝ったり。
子供達のお母さんに、クロアチア語で書かれた遠足のお知らせを翻訳してあげたり。
政府では手が届かないところで、でも実際に必要な支援をしているNPOがあって、クロアチアで過ごす難民の子供達の生活が成り立ってるんだなあと思った。
今日話してくれた方は、普通に働き、母親をやりながら、NPOで活動している。
現在のクロアチア政府は難民に寛容とは言えないし、他多くのEU諸国と同じように、国境を渡ろうとする難民をセルビアやボスニアに送り返す例も多々ある。このNPOが以前、クロアチア国境付近でひどい環境で行き場を失っているような難民たちに支援を行っていた際、政府に止められたらしい。政府が難民に厳しい目を向け、メディアもそれに伴って、難民による犯罪などを大げさすぎるくらいに報道する中で、このNPOも政府と衝突することはあるって。
だけど同じ母親として、子供とクロアチアで庇護を受けたいのにそれができない、物資にも困ってる、クロアチア社会からは孤立し、閉鎖的で、過ごすだけで気が滅入るようなあの難民センター(クロアチア市民からはそう見えるらしい)で1年も2年もただただ庇護を待ってる、それを見過ごすことはできないって言ってた。
彼女の10歳の子供も、小さい頃から難民の子たちとも関わったり、「これ○○くん(難民)にあげようよ」という言葉を発したり、学校で難民についてのプレゼンを他の子たちにしたりしているんだって。
私は今まで赤十字にいて、草の根じゃ本質的には結局何も変えられない、大きな制度やシステムを作りたいかも、と思ってた。ただその一方で、完全に自分の将来をそういう使命感やそのための仕事に振り切るのもどうかと感じてた。
だから世界平和とか、大きな夢を語ってるのは若いうちだけなのかなあ、とも思ってた。
だけど、将来何をするにせよ、社会を自分の力でよくするための活動に関わることができるし、必ず関わっていたいと思った。
