「お母さん、このままだと、寝たきりまっしぐらだよ。あと、まさし君もぶっ倒れるよ。」
そのとき、心を鬼にして母をショートステイに連れて行った。
動けなくなった母に、連日泊まり込みで付き添っていた僕に、
言いにくいことをハッキリと言ってくれた一つ年上の昔からの友人が、
親の介護のために故郷に引越して行った。
遠くから手を振ってくれる友達…
「ここだよー!」って手を振る代わりに
ピカピカに光ってみせたい。
孤独感や、焦燥感や、挫折感や、絶望感に襲われても、
雨に煙る緑の葉っぱや
庭先から高く咲くタチアオイや
子どもの頃から見ている形の紫陽花の花を見ていたら、
崇高なものと
そこへ向かう道すじは
見失いたくないなと、
光と影の連続の環八のトンネルを走りながら、
思っていた。