父親の背中… | 仕事のこと、日々の暮らし、趣味のことなど、何気ない日常の中にあるささやかな輝きを忘れないように。

仕事のこと、日々の暮らし、趣味のことなど、何気ない日常の中にあるささやかな輝きを忘れないように。

ピアノ調律師をしています。何気ない日常の中に密かに隠れている輝きを見つけたい、そんなことを考えながらつらつらと書いています。

僕の父親は21年前に亡くなりました。66歳でした。



昭和5年生まれで、もし生きていたら87歳でした。



台湾生まれで、中学生の時に引き上げてきたそうです。




父とはあまり話すことはなく、僕も早くに結婚して家を出たので父との思い出はそんなにありません。




寡黙で、お酒もタバコも飲まず、真面目にサラリーマンを続けていました。



そんな父親が、よく通っていた台湾料理のお店が渋谷にありました…




「麗郷」です。



父は一人でよく浅草に行き、帰りにこの麗郷でバーワンという料理を食べて帰ってきました。





最近になって時々、思い出したように僕がそこへ行くことがあります。


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まるで軍事基地のようなゴツゴツしたレンガ造りの古い建物。




父が好きだった料理を注文します。




バーワン



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チョウズメ

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大根もち

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お店の中には、カップルやグループ客に混じって、一人客の年配の男性が、何人か黙々と食事をしていました。




きっと父親もこんな風に故郷の台湾の味を懐かしく味わっていたんだろう。



ふと、年配の男性の後ろ姿に父を重ねてしまいました。



台湾と三島由紀夫をこよなく愛した父…



そんな父親の残した「麗郷」の味と、足を患う老いた母親は、今は僕の大切な日常の中にある。


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