仕事のこと、日々の暮らし、趣味のことなど、何気ない日常の中にあるささやかな輝きを忘れないように。

仕事のこと、日々の暮らし、趣味のことなど、何気ない日常の中にあるささやかな輝きを忘れないように。

ピアノ調律師をしています。何気ない日常の中に密かに隠れている輝きを見つけたい、そんなことを考えながらつらつらと書いています。

ピアノの調律で出会ったピアノ、持ち主様とのなんとも深いストーリーを書いていきます。また古いものが大好き。特にイギリスのアンティークなんて良いですね❗手巻きの時計とか万年筆とか古い椅子とか、思い入れのあるものについても綴っています。

「やっぱり人がいるって、嬉しいね。」


7ヶ月ぶりに帰ってきた狭い団地の部屋で、母は震える手でトランプのカードを揃えながら呟いた。


去年の5月に救急搬送されたとき、母はもう二度とここに戻ることはできないだろうと思っていた。


3日間の外泊許可は、50年前の家族の風景を、お母さんと、お姉ちゃんとボクに、


温かく、届けてくれた。





(ついに富士山が見えなくなるのか…)





このマンションを決めた理由の一つ(というか、唯一の)は、


リビングから、富士山が見える


ということだった。


20年前、鬱病に苦しんでいた妻は、穴倉のような日陰のマンションの2階から、12階のこの眺望を手に入れてから、少しずつ回復していった。


「この先、これ以上高い建築物は条例で建たないんですよ。」


そんな当時の営業トークが虚しく思い出された。


そんな中、


夕陽に照らされる巨大なクレーンが富士山を覆うように稼働しているのをぼーっと見ていたら、


突然、気がついた。


「あの、富士山の隣の山って、なんの山だろう?」


富士山の横にも、同じような山がいくつもある。


スマホの地図アプリを開いて、なんとなくその方角を探してみた。


赤岳という山かもしれない。(いや、全く違うかもだけど…)


山って富士山だけじゃないよな。考えてみれば。


別に富士山が見えなくなったからといって、すべての山が見えなくなるわけでもなく。


いや、逆に富士山が見えなくなったからこそ、見えてくる山もあるわけで。


もちろん、日本一の高さを誇る富士山の独特な壮麗美には敵わないが、


平凡でどこにでもある山(失礼!)にも、ちゃんと名前があって、(勝手に赤岳と決めつけたけど…)


その山にも、ちゃんと夕陽は落ち、雪は降り(たぶん)、虹はかかっていくはずだ。


僕はなんて、身勝手で、小さなことにこだわっていたんだろう。


それに気付いたとき


紅に染まる巨大な人工物の重機が、


大切なことを僕に伝えようとする、神秘的な生命体のように思えた。



時々、調律の後の評価をいただくことがあります。


少し恥ずかしいですが、人から感謝されたり、喜んでもらえたりすると、やはり、力をもらえます。


ありがとうございます。


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[ユーザーからの評価] 星5つ


[ユーザーからのコメント] 家族で明確な音の違いに痛感しました!! れっきとしたプロの方で安心してお任せ出来ました。 人柄も素敵です。またお願いしたいです!


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[ユーザーからの評価] 星5つ


[ユーザーからのコメント] お世話になりました。連絡もこまめに下さり、優しいお人柄で全てにおいて信頼できました。ピアノに関しても色々教えてくださり、もちろんきちんと調律もしてくださり良かったです。母から譲り受けたピアノなので大切にしていきたいと思っています。ありがとうございました。