原風景とネッシーとUVERと | 物書きの大脳辺縁系~ライター・白土勉のブログ

物書きの大脳辺縁系~ライター・白土勉のブログ

【大脳辺縁系】脳の中で、感情や記憶、本能行動を司る中枢となる部分。
 サラリーマンから転身した脚本家、白土勉の感情(日々思うことや気になるニュース)や記憶(今までの仕事や経験談)、本能行動(執筆に関するあれこれ)などを書こうと思います。

仕事が徐々に始まりつつあり、いつも通り電話やメールの着信を気にする日が
訪れる中、今日は日帰りの里帰り。今帰らないと、また帰りそびれてしまうので、
プロットが一段落した隙を見計らって帰ることにしたのです。

行き先は神奈川県某所。車で片道約二時間。やはり、帰るには思い切りが必要
な距離です。

途中の風景

私は東京生まれの神奈川育ち。いわゆる『田舎』というものはなく、子供の頃は
盆暮れに田舎に帰る友達を、とても羨ましく思っていました。

山々に囲まれて、見渡す限り、周囲には青々と茂る草むらや清らかなせせらぎ
しか見えないような一本道を、虫取り網を持って駆け回る夏休み。

雪深い中に佇む家に近所の人々や親戚が集まり、囲炉裏を囲んでにぎやかに
過ごす年の瀬。

そんな風景を思い浮かべると、体験したことなどないのに、ふと懐かしさを覚え
ます。このノスタルジーは、一体、どこから来るのでしょう?

前世で見た風景? それとも、遺伝子の片隅に刻み込まれた記憶?

見たことのない風景だとすれば、何故、郷愁を感じるのでしょうか?

現代科学では、きっともっともらしい説明がなされるに違いありません。けれど、
前世などない、或いは、遺伝子に記憶が刻まれることなどないと、本当に証明
出来るのでしょうか?

人類の歴史は二千余年。現生人類は25万年前に登場したと言われています。
46億年と言われる地球の歴史に比べて、極めて一瞬であり、人類が科学を生み
出したのは更に短い期間に過ぎません。それだけ短い期間しか経ていない学問
が、森羅万象を解明したと思う方が大いなる驕りでしょう。

私がよく疑問に思うのは、「科学的にあり得ない」などという風に決めつける文脈
です。幽霊やUFO、UMA(ネッシーや雪男など未確認生物の略称)といった話
になると決まってこの文言が登場しますし、他の話題でも何かにつけて「科学で
は(或いは学問では)」という言葉で、ありふれた結論を導きがちです。更には、
それが元でこれらの話は『トンデモ話』として扱われてしまいます。けれど、人間
はそれ程、全てのこと(人体のことも、自然界のことも、宇宙のことも)を把握し、
理解しているものなのでしょうか。

UVER WORLDの「クオリア」という歌の中で『心臓にもない 脳にもない どこ
にも見当たらないココロ』というくだりがありますが、現代科学においてまだ心の
問題は解決されていません。これだけ医学も生物学も心理学も他の学問も発達
しているにも関らず、何故、人間が感情を持ち、様々な事を考えられるのかが、
いまだに分からないのです。

それなのに、「輪廻」はないと言い切れるでしょうか? 地球以外に生物はいない、
或いは、地球に来る可能性はないと言えるのでしょうか? 太古の生物が地球の
片隅でひっそりと生きながらえていないと証明できるのでしょうか? それはただ
単に、地球の歴史の一瞬のまた一瞬を生きる現生人類の、ちっぽけな常識の中
で導いた結論でしかないと思うのです。

話を戻しますが、体験したことのない原風景を心に抱き、それを懐かしいと思える
ことを考えると、そこには果てしない可能性が産まれます。その風景を辿ることで、
一体何に辿り着けるのか。もしもある日、その風景に自分が遂に巡り合った時、
それは何を意味しているのか。単なるデジャ・ビュとして片づけては面白くも何とも
ない。もし、それが前世の自分の生きていた場所との遭遇だとしたら、自分はその
時何を思い、どう行動するのでしょうか。

私は別に、輪廻も幽霊もUMAも心から信じてるという訳ではありません(かつて、
卒業旅行でネス湖に行ったことはありますが)。「科学」という錦の御旗を振り翳し、
様々な事柄を否定することに抵抗を覚えるだけなのです。疑わしきことであれば、
それを否定するのではなく、もっと謙虚に「現在の人類の科学やテクノロジーで
いまだ解明できない」とするべきではないでしょうか。それこそが、謙虚な姿勢と
言えると思うのです。人も、元を辿れば単なる生物の一種でしかないのですから。

実家でひさしぶりに父と会い、ゆっくりと色々な話をした後、遅くに車で戻って参り
ました。残念ながら、その往復の途上で原風景に出会うことはありませんでしたが、
いつか自分の原風景を探す旅に出てみたいと思います。少しでも自分自身をよく
知り、自分の中に眠っているものを感じ取るために。


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