三が日が終わりましたね。今日から仕事だという方も多いかと思います。
私の仕事は、オンとオフの境が判然としません。「やる!」と決めたら仕事中
ですし、「もう嫌だ! やらん!」となれば、休みに突入です。
羨ましいとお思いの方もいらっしゃると思いますが、そう良いことばかりでも
ないんです。
オフが続けば、それは失業と同じですから。失業も、自分の意思で自由自在
なんです。少しでもサボり癖がついてしまうと、いつまででも休めてしまいます。
勿論、締切があるので、それに追われてる間は良いです。けど、一つの仕事
が終わり、次のプロットや企画書を出していないと、途端に『プチ失業状態』。
だから、それが怖くて、つい休みの日も仕事をしてしまいます。ワーカホリック
な程に、生き急いでいるかのように、書き続けるのです。
ついでに、「休み明けまでにやっといて」という締切も多いので、休みの日に
仕事せざるを得ないことも多いんです。
ここ数年はそんな状態で年を越しており、精神衛生上は良いのですが、休日
に仕事ばかりしてると、さすがに世間の方々と同様に休みを堪能したくなります。
そこで今年は、丁度、ある作品のスケジュールが若干延びたので、年末年始
に他の仕事を入れず、ゆっくりとすることにしました。
……することにした筈なのですが、やはり仕事をしております。先日からこの
ブログにも書いてるように、次の仕込みのプロットを前倒しで書いているのです。
幸い、プロデューサーの方に口頭でプレゼンしたら受けが良かったので、モチ
ベーションは上々なのですが、作品に向き合ってみると、思いの外、難産だと
分かりました。なかなか良いアイデアが出ずに、苦しんでいたのです。
そこで、ようやく本題の『アイデア発想法』です(前フリが長い!)。今回のように
アイデアに詰まった時、私がやる方法を二つご紹介します。
まず、世間で言われる『ブレイン・ストーミング』です。と言っても、会議等をする
訳ではなく、自分一人でやります。どうするかと言いますと、思いついたこと全て
を書き出すのです。どんなつまらないことも、下らな過ぎて恥ずかしいことも、
全て細大漏らさずに書き出します。
何故か?
人間の脳には、左脳と右脳があるという話をご存知の方も多いと思います。左
脳は論理的思考や言語を司り、右脳は創造性やイメージを司るというものです。
左脳は論理で考えますから、当然色々なことを瞬時に判断し、取捨選択します。
これが意識せずに行われる為、子供の頃は突拍子もないことを言い出したり、
説明されないと理解できないような発言をしたりする訳ですが、大人になると、
そういう発言はしなくなります(ごく稀にですが、そうでない方もいらっしゃいます)。
これが、創作の上では邪魔になるのです。
何故でしょう?
脳内では、無数のアイデアが次々と浮かんでいるのに、『理性』や『常識』、『周り
の目』というフィルタ(=左脳の働き)により、殆どのアイデアが葬られてしまって
いるように思うのです。それも、「無意識に」です。
へそくりを仕舞った箪笥や机が、知らない間に家族によって捨てられてしまったか
のように、貴重な、素晴らしいアイデアが、左脳により、勝手に捨てられてしまって
いるとしたら、あなたはどうしますか? 箪笥や机ならゴミ捨て場(或いは処理場)
に取りに行けばいいでしょうが、一旦失ったアイデアは、そうはいきません。
そんな状態を食い止めなければならないのです。
これらの“葬られたアイデア”の中に、実は面白いアイデアが潜んでいるのであり、
それを救い上げる為に、上記のような方法をとるのです。
『一人ブレスト』を行うには、まず絶対に人目に触れないような空間と時間を用意
します。書斎でもいいですし、会社で仕事中なら、空いている会議室でもいいかも
知れません。
そこに一枚の紙と鉛筆、或いはノートパソコンを持ち込みます。そこで自分が書く
ことは絶対に誰にも見られないのだと、心に強く言い聞かせるといいでしょう。
そして、アイデアを次々に出していくのですが、その際、何のアイデアを出したい
のかを明確にしましょう。漠然と、良いアイデア、良いアイデア……と呪文の如く
唱えても、良いアイデアが浮かんだ試しはありません(少なくとも、私の場合は)。
例を挙げれば、ただ単に「恋愛映画のアイデアを考える」でなく、「この間テレビ
で見たニュースを元にした恋愛映画のアイデアを考える」、更に言えば「この間
見たニュースにあった、こんなキャラクターの女性が主人公の恋愛映画のアイ
デアを考える」という具合に、どんなアイデアを考えたいのかを明確にする必要
があるのです。
これは、アクション映画で「主人公が危機を切り抜ける」という展開を考える場合
でも有効で、ただ「危機を切り抜ける」でなく、それがどんな危機であり、どんな
場所で誰によって、どんな危機に陥ったのか、その場所はどんな配置となって
いるのかなどを考えます。
これは、後で幾らでも変えても構いませんので、一先ず決めることが重要です。
そうすることで、色々なことを考え易くなるのです。
そうした上で、上記の『一人ブレスト』で、アイデアを思いつく限り書き出していき
ます。最初は戸惑うかも知れませんが、次第に慣れてきて、徐々に沢山書ける
ようになっていくでしょう。唯一つのルールは『思いついたことは全て書くこと=
自分のアイデアを絶対に否定しないこと』だけです。左脳に邪魔させず、右脳を
全開にして、アイデアをだだ流しにするのです。
どこまで書けばいいかというと、もうこれ以上新しいアイデアが出なくなるまで、
です。似たようなアイデアばかりになったら、そこら辺が潮時でしょう。
アイデアが出尽くしたら、そこで初めて左脳の出番です。「これは面白くない」
とか、「これは予算的に無理」、「これは、今やっても観客は見てくれない」等、
一つ一つ判断し取捨選択するのです。思いの外、良いアイデアがある筈です。
私は、この方法でずっとやってきていますし、塾や専門学校でも教えています。
二番目の方法として、それでも思いつかない時は、風呂に入ります。
何故か?
経験則で、私は風呂上がりにボーッとしている時、良いアイデアを思いついた
ことが多いと分かっているからです。
これは恐らく、人によって異なると思うのですが、良いアイデアを思いつき易い
環境があるのは間違いないと思います。それを見つけ出すには、色々と試して
みるしかないですが、概して言えば、リラックスできる環境に身を置くことがいい
のではないでしょうか。
この場合でも、疑問点を明確化しておくことは、とても大事です。気持ちの良い
環境の中で、明確にした疑問点や懸案事項を考える癖をつけることで、今まで
思いつきもしなかったような良いアイデアを生み出せると思います。
他にも色々なやり方がありますが、私がよくやる方法を二つご紹介してみました。
今日は一日中、これらのやり方でアイデアを練っていたという訳なのです。
……ハッ! 部屋に篭りっきりで、おもむろに出てきたかと思うと、風呂に入り、
出てきてボーッとする……これって、端から見ると、ただ遊んでいるようにしか
見えないんじゃ……どーりで最近、私を見る家内の目が険しい訳だ……( ̄_ ̄;
