この債務者Aは、当然のことながら家族がいた・・・
自分の母親と妻と娘が二人・・・
まだ小さかった娘二人は、母親と一緒に母親の実家に一時避難していた。
そして残ったAとその母親は、強制執行に徹底抗戦を開始したのだ!!
その日は朝から騒がしかった・・・
執行官が大勢の作業員を連れて、トラックとともにやってきたのだ!!
執行官が玄関前で『執行開始宣言』をし、瞬く間に玄関の鍵は開錠され中に入り
荷物をダンボール箱に詰め始めたのだ!
ここで、債務者Aは作戦を決行した!
予め母親を、健康なのだが病人に仕立て上げ、寝室に寝かし、心臓病だと偽って
少しの物音でも心臓に悪いと作業員に言い放ったのだ!!
とたん、物音が止まり、家内は静まり返った・・・
顔を見合す作業員達・・・
執行官や落札した業者達も困り果て、一度退去して相談し合うのだった・・・
しばらく思案した末、執行官達はある行動に出た・・・
救急車を手配したのだ!!
心臓病と偽っている母親を寝かしたまま、どこかの病院に運びだそうというのだ!
それと平行して作業員達は
寝室以外の部屋を忍足で、ご苦労なことだが、ゆっくりと荷物を運びだした!
焦ったのは債務者Aだった!
まさか救急車を呼ばれるとは思わなかったのだ!
しかし、すぐに救急車がやってきた!
救急隊員が駆けつけ、寝込んでいる母親に声を掛けた!
『おばあさん!大丈夫ですか!』
『うぅ・・・・・・・』
『起きれますか!』
『・・・・・・・』
傍らでは、Aが『動かしたら死ぬ!死ぬ!』と喚き散らした!!
執念の演技である!
もう笑うのを通り越えて呆れてしまう・・・
救急隊員が手をこまねいている間も、作業員達は黙々と荷物を運び出した・・・
そしてとうとう、寝室のベットだけを残して全て運び出され、家の中は空っぽになってしまったのだ!
母親はまだ『うぅ・・・』と名演技中である・・・
お手上げの救急隊員は引き上げてしまい、執行官達も『あきらめがつくだろう・・』と
思ったのか、荷物を満載に積んだトラックで、作業員達とともに去って行くのだった・・・
聞くところによると、この母親は作業員達が去ったのがわかると
スクッ!と起き『あぁ~しんど!』と言ったそうだ。。。。
その後、家財道具が何もない家で生活が出来るはずもなく・・・
仕方なしに知人宅に一時的に身を寄せていたのだが、後に一家離散したそうだ・・・
法の網の目はいくらでもくぐり抜けることが出来るかもしれない
しかし、因果応報だけは逃れることはできないと思う・・・
この親子の名演技などよりも、奥さんと娘さん二人の幸せを祈ってやまない出来事だった・・・
次ぎはケース②をご紹介します。