明治時代、日本では、外国人教師をおおぜい雇い西洋の文化、科学、軍事などを学びました。当然の事ながらそれらを外国語で学びました。しかし、明治の人たちは新たに日本語に無い言葉を和製漢字に翻訳したのです。このことは当り前のことのようですが、実は凄いことだったのです。以下に示しますように、和製漢語には二種類あります。日本で新たに作った漢語風の単語、及び、中国で用いられていた言葉を別の意味を日本で当てたものです。しかし新たに作った言葉の方が圧倒的に多かったのです。これらの翻訳にあたった主な人は、西周、福沢諭吉、福地桜痴、森鴎外、夏目漱石、中江兆民などです。
例えば、
新たに作った言葉 cash 現金、 market 市場、 liberty 自由
中国の言葉利用 professor 教授 (元の意味;学問・芸ごとなどを教えること)
metaphysical 形而上 (元の意味;形を知覚できないもの)
先日テレビで、フィリピンの小学校で算数と理科の授業を英語でやっていました。これは英語の学習のためにしているのではなくて、算数や理科で用いる言葉で現地の言葉がないためだと言っていました。もっとも英語の教育には良いですね。数学に関する和製漢語の一例を以下に示します。
一説によるとこの和製漢語は数万語に及ぶと言われています。
我々が学んできた数学や理科においても、和製漢語がなかったら現在数学を学ぶことができません。もっともおかしい翻訳もあります。" geometry"に「幾何」は不適当です。
因数 factors演繹 deduction確率 probability帰納 induction仮定 assumption関数 function幾何 geometry係数 coefficient指数 index, exponent
速度,速力 speed
単位 unit, credit分数 fraction方程式 equation
未知数 unknow quantity
などなどです。
テレビでは自国語で科学、哲学などを学べる国は多くないと言っていました。日本人は外国語を知らなくても高度な思想や技術などを学ぶことが出来るのです。私は学生時代電気工学を学びましたが、専門用語のほとんどが和製漢語。例えば、電気 ( electricity)、電圧 (voltage)、電流(electric current) 、抵抗(resistance )、などなどです。
中国や韓国は、漢字文化が偉大だったためなのか、西洋文明を取り入れるのが遅れてしまいました。古代において訓読みや仮名の発明、明治の和製漢語の創造、ほんとうに日本人の祖先はよいものを残してくれたと思います。