※この記事には映画の内容に関する記述が含まれます。

 

普段映画を見ることのない自分。

そんな自分が、映画を見てきました。見てきたのは、一昨日から公開が始まった「平行と垂直」。元々は精神保健福祉士協会のHPから情報を得て、見てみたいと思いました。」

 

映画を見ようと思ったのは「どうすればよかったか?」以来のこと。

冒頭にも触れた通り、普段映画の予告が流れて「あぁ、見に行ってみたいなぁ・・・」と思っても行かないことがほとんどの自分ですが、明確な意思を持って観に行くのは相当な意欲が働いています。事実、上映の1時間前には映画館に行っていましたから、それはもうはっきりとした意思が存在しています。

 

映画を見る前にパンフレットを購入し、事前チェックもしました。

この映画はSUPER EIGHTの安田章大さんとのんさんが主演を務め、ASD(自閉スペクトラム症)の兄とカウンセラーの妹の兄弟が妹の結果話を機に、2人の関係から環境まで様々に揺れ動く物語。

 

パンフレットのレビュー(金原由佳さん述)にもありますが、ASDを取り扱った映画の先駆けとなったのは、1988年に公開された「レインマン」があり、自分も専門学校の学生時代に社会福祉援助技術論(今で言う「ソーシャルワークの基盤と専門職」「ソーシャルワークの理論と方法」)の授業の中でレインマンを見ることがありました。確かにASDを表現するにはよくできたものでありましたが、金原さんが書かれたレビューにおいても『卓越した記憶力を持つ天才的な一面が強調』(映画「平行と垂直」パンフレットより引用)とあるように、サヴァン症候群がASDの特徴とも捉えかねないような印象になっていたのも事実であります。

 

その後日本でもASDを取り扱ったドラマ・映画が作られるようになりました。

自分も福祉の仕事に就いてから色々と目にする機会がありましたが、正直あまり納得できるようなものには出会えませんでしたが、その中でも2006年に放送された草彅剛さん主演の「僕の歩く道」についてはとても良く描かれていた印象を持っており、作品としてもASDを描いたものとしても非常に良いものではないかと思います。

 

パンフレットを一読してから、鑑賞に臨んだ自分。

全てを見終わった感想、安田さんやのんさんの表現が手に取るように理解でき、とても良い内容だったと感じました。のんさん演じる妹の「心の葛藤」がすごく伝わってきましたし、それを理解しているかのように感じさせる安田さんの演技が、自分の心の琴線に触れるものでした。

 

のんさん演じる妹・希の仕事はカウンセラー。

その仕事をするきっかけになったのは、弟・大貴の存在。ストーリーの中で直接大貴がきっかけでカウンセラーに就いたと言っていませんが、カウンセリングのクライアントとのやり取りの中でカウンセラーを選んだ理由に「大切な人の心を理解したい」と言う趣旨のセリフがあるので、大貴の存在がその仕事に向かわせたことを想像することができます。

 

そんな希の結婚話。良い話ではあるけど、そこに突きつける現実。

大貴のことが理解されないことで、ちょっとしたトラブルが起き、その対応をする希。頭ではわかっているけど、余裕のなさや現実の課題を目の前にして大貴にあたってしまう希。そのことを大貴も理解し、大貴なりの行動を取る姿。結婚相手の両親に大貴と共に会う希。そこで感じるご両親の大貴に対する不安に直面し、実際にその場で大貴がパニックになり、そこで改めて大貴との関係に気づく希。そんな希に、屈託の無い思いを表現する大貴。

 

そんなストーリーが手に取るように理解し、時々ウルウルしていました。

途中のストーリーでもおにぎりを奪う紗奈の存在、紗奈が何気なく自分の境遇を話したことが影響したのか、紗奈の分までおにぎりを作るようになる大貴。職場の飲み会に行くものの、実際には周囲はほとんど大貴のことを理解していない現実、でも大貴が住んでいる商店街は大貴のことを理解して受け入れている環境。大貴が作る「正方形の卵焼き」の意味・・・物語の全てが手に取るようにわかり、そこがまたこの作品の良さを感じさせます。

 

今回厚生労働省は「発達障害者支援施策の一環」としてタイアップしています。

ただ実際に映画を見ると、実はそこには発達障害以外の課題もたくさん含まれています。自分が映画を見て読み取っただけでも・・・

・幼くして母を亡くした大貴と希、実は適切な養育環境になかったこと。

・おにぎりを奪う紗奈は支援が必要な家族だった。

・「問題を起こさないように、グループホームにいてくれ」と言ってしまう警察(行政)の対応。

 

そんな細かいことも丁寧に描かれていたこの映画、本当にいい作品です。

自分が見た時の座席は・・・空席が目立つ状態。多くの人は「ちいかわ」や「トイストーリー」に流れているのだと思いますが、この作品こそ本当に見てほしい。ストーリーはフィクションだけど、ASDや今の社会を描いたものとしてはとてもいい作品です。その部分は以前に見た「どうすればよかったか?」とはまた違う切り口であり、より見易いものと感じています。

 

この作品、全国的には上映する映画館が少ないと思います。

もっと多くの映画館で上映されるといいなと感じています。あと、上映回数も。

 

 

 

最近見た映画はこれ

 

Ameba映画部