先日、自分が担当していた相談支援を移管したことを書きました。
移管をしたということは、自分の受け持ちが1つ減ったことになるのですが・・・それを見ていたかのように、また新たな相談支援の依頼がやってきます。
依頼はこの1週間で2件。どちらも対応する予定です。
1件は自分が支援担当する地域ではない方のケース。自分のところに繋がった理由は、その方が利用する施設の方が、同じ施設にいた別の方への支援実績から何とかお願いできないかとのこと。本来担当管轄になる自治体の相談支援事業所にも相談したものの、どこも一杯で断られてしまったとのこと。ただ状況を聞くと「何もしない」という対応は選択できないケースと判断し、事業所の方との繋がり・関係性だけで受ける方向にしました。
もう1件は社協から。まだ福祉サービスを使ったことのない人の支援依頼。
精神疾患はあるものの、手帳はまだ持ってなく、自立支援医療も最近になり申請したとのこと。ただし自宅環境は惨憺たるもの(いわゆる「ゴミ屋敷」)で、一度介入をして目処をつけたものの、このままでは再度同じ状況になることが目に見えるとのことで、依頼が来ることに。一応社協も相談支援事業所があるんだけど・・・ねぇ、自分のところに依頼が来るんですよね。
これとは別に、すでに1件は契約も行い、実際に支援も開始しているケースも。
病院からの依頼だけど、自分の担当管轄地域外の方なので本来は援護地の事業所にお願いをしたいもの。しかし探したけどどこも断られ、すでにグループホームへの入居も進めているとのこと。で、そのホームがうちの法人のホームなのでお願いしたいとのことだったけど・・・いやぁ、本来はニュートラルにするために別の事業所がいいんだけどなぁ。でも色々と探した結果だから、条件付きで対応することにしました。
計画相談、事情は様々だけど支援が終わるケースは一定数あります。
しかしそれと同じだけ、新たな相談支援の依頼が入ってきます。今の事業所で計画相談を始めて最初の頃はうちのB型を利用する人からの依頼に対応してきましたが、最近はほぼ外の方からの相談で対応しています。その数も毎年コンスタントに対応しており、相談支援の依頼がなくなることはおろか、減ることはありません。つまり、それだけ相談支援の必要な人がいるってことなんですよね。
毎年国は相談支援事業に関するデータを公表しており、こんなデータも公表しています。
これは令和7年3月現在のセルフプラン率についてのグラフ。
セルフプランというのは、障害福祉サービスを使うときに必要なサービス等利用計画を、専門職(相談支援専門員)に作ってもらわず自分で作ることを指します。全国的に見ると、自分で計画を作っている人(セルフプラン)の割合は16.4%とのことですが、これは自治体によって大きな開きがあります。セルフプラン率が低い県もあれば、逆にものすごく高い県もあります。また障害児においてはさらにセルフプランの割合が高く、基本的に障害福祉サービスを利用する全ての人に相談支援専門員はついていないという現実があります。
もちろん「自分のことは自分で決めたい」という意思のある人は別です。
そうではなく、相談支援専門員さんがいないから仕方なく自分で計画を作る、いわゆる「望まないセルフプラン」の存在が問題であり、国としてはそれを解消する必要があると言っています。
ですが・・・何度も言っている通り、計画相談だけで事業は成り立ちません。
それでも「成り立つ」と言い切る人もおり、横浜市は特にそれを強調し、試算したデータも公表しているくらいですからね。
これが横浜市が示している収入試算。この計算の前提としては
・相談支援専門員1人で年間100ケースを担当する。
・全てのケースを3か月ごとにモニタリングを実施する。
・モニタリングに関連した加算を算定する。
という条件のもと計算をしています。そうすると年間で約711万稼げるとのこと。
確かに1人で年間700万円以上も稼げたら、事業所としては安泰ですよね。じゃ、1か月はどんな感じなのか検証してみます。
年間で100ケースの計画作成・モニタリングを実施するという計算。
「100ケース」というのは「100人の受け持ちを持つ」という意味。「全てのケースを3か月ごとのモニタリング」というのは、ある人に対し3か月ごとに支援状況の確認や計画の更新・再作成(モニタリング)をするという意味なので、100人全員を毎月支援するのではなく、100人それぞれが3か月ごとに支援を受けるという意味になります。
なので1か月に計画作成・モニタリングを行う人数は
「100ケース÷3か月(3か月ごとに同じ人を支援する)=33人」で、月によっては34人実施することで3か月周期で100人の受け持ちを回すことができます。言葉で説明するとわかりにくいですけど、表にするとこんなイメージ。
仮に3か月ごとのモニタリングをグループごとに分けると、こんな感じ。
この循環をすることで横浜市が試算する「年間約711万円」の収入が得られるということです。
が、1か月に33人(あるいは34人)の支援はどういう意味なのか。
単純に言えば、33人分のモニタリングを実施し、モニタリング報告書を作成し、ご本人に説明し署名をもらって役所に提出する。この作業を毎月やるってことなんですよね。
これ、以前ここでも示したことのある「モニタリング報告書」の書式例。
この書類をモニタリング時に作成し、役所に提出しないと報酬がもらえません。で、モニタリングは本人だけでなくサービスを提供している事業所にも話を聞き、その内容をまとめます。項目が多ければ多いほど、聞く内容や確認する機関は多くなります。これを33枚作成する・・・1か月は土日祝日を含めて最大31日。休みを含めて1日1枚以上完成させるってことですよね。あと、一応専門職(相談支援専門員)が作成する書類です。その書類が「できている」「満足している」「安定している」「継続する」の言葉だけで作成された書類だったとした時、果たしてそこに専門性は存在しているのでしょうか。こういう書き方であれば月33枚作成することは容易だと思いますが・・・仮にも研修を受けてきた相談支援専門員が、その内容で良しとするのか、自分は疑問です。
また相談支援専門員の仕事は、モニタリングをするだけではありません。
ご本人の相談に日々応じますし、新しいサービスを利用したいと希望があった時、例えばそれがグループホームだったときは一緒に見学同行をすることもあります。でもその支援は報酬になりません。報酬がもらえるのは、基本的に計画を作成した時とモニタリング報告書を提出した時。例外もありますが、相談支援専門員の仕事は「報酬算定されない仕事」が圧倒的に多いのです。こういった業務をしながら、毎月33件のモニタリング報告書(計画案)を作成することって、現実的に可能なのでしょうか。
その上で相談支援専門員が不足している現実。
その結果、望まないセルフプランの存在がある。でも相談支援専門員が担っていることはともて多い。果たして横浜市の試算したとおりに収入を得ることができるのか。横浜市でも相談支援事業所の経営実態調査をして、試算通りの結果になっているのか検証してみてほしいものです。その時、どんなモニタリング報告書を作成しているのかも見てみたいです。
色々と長々と話してしまいましたが・・・
相談支援を必要としている人は多く、1件終わっても次の1件がやってくる。相談支援の依頼はいつまでもどこまでも続いて行くものなのしょう。



