昨日、社会福祉士と精神保健福祉士の合格発表がありました。

精神保健福祉士の合格率は大きな変化はありませんでしたが、社会福祉士については過去最高の58.1%でした。

 

自分が社会福祉士を受験した21年前(第15回)の時の合格率は31.4%。

当時としては高い合格率でしたが、今回は受験した人の半分以上は合格できたことになります。この傾向は去年から始まり、去年の合格率は44.2%。去年と比べ極端に問題の難易度が変わったとは思いませんが、より現実に沿った出題がされるようになったのかもしれません。

 

時同じくして、自分は社会福祉士の現場実習受け入れが今日終了しました。

自分としても社会福祉士を目指す学生さんの実習受け入れと実習指導は初めてのことで、実習の受け入れに当たってはそれなりに準備してきました。日本社会福祉士会が作ったプログラミングシートも作っていましたが・・・完成できませんでした。すみません。

 

とはいえ、実習は標準カリキュラムを基に構成し、その中で工夫もしました。

実習生からの希望も聞きながら、できる限りオーダーメイド型の実習内容が組めるように工夫しました。その結果・・・ちょっと実習生にとっては負担の大きい内容になってしまったかもしれませんが、中身の濃い実習になったと思います。

 

そんな今回の実習生は、来年の国家試験を受験します。

来年の国家試験は新しいカリキュラムのもと実施される最初の試験。逆を言えば、今回の国家試験は旧カリキュラムでの最後の試験でした。そのため自分が指導した実習は新しいカリキュラムを基にした実習をしました。正直自分が学生で実習をしていた時とはだいぶ内容も変わったような気がしますし、自分自身も現場経験を積んでより実践に近い実習プログラムを組みました。

 

社会福祉士に求められるものも、時代と共に変わっていると思います。

自分が受験した時、福祉の考え方はいわゆる「福城六法」の考え方で、働く分野も高齢者か障害者か児童か行政か・・・など、そんなに多くはありませんでした。しかし今ではあらゆる名の「福祉」の考え方ができ、司法福祉という考えも今はあります。そのためいわゆる施設で働く選択肢以外に刑務所や保護観察所など、自分が社会福祉士を受験した時とは環境もずいぶん変わったように思います。

 

社会福祉士のカリキュラムや試験内容も、そんな時代に合わせていると思います。

自分が受験したときは「更生保護制度」なんて科目はありませんでしたし、「社会調査の基礎」や「福祉サービスの組織と経営」は自分が受験した時でいう「社会福祉援助技術論」の1つとして含まれていました。基本的に「〜論」という科目で試験がありましたが、今の試験は分野としての試験を行なっているように感じます。

 

間違えなく自分が受験した時に比べ学ぶ範囲は広がっていると思います。

ただ一方で学ぶ内容の基本は変わっていないのかなとも思います。例えば「相談援助」(新しいカリキュラムでは「ソーシャルワーク」)はいつの時代になっても学ぶことの内容や基本は変わりません。自分が勉強した時も今の学生さんも「バイスティックの7原則」は共通言語として理解できますし、ケースワーク・グループワーク・コミュニティワークの考えも基本的には変わりません。細かいところでは変わった部分や増えた部分はありますが、学ぶ基本に違いはないのではないかと思います。

 

そして来年以降の試験も、カリキュラムこそ変わるものの内容は維持かなと思います。

昨日合格率を見た時は「来年の問題は難しくなるのかな」と思ったところもありますが、「社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会」の提言を受ければ、昔のような細かいことを問う試験よりソーシャルワーカーとしてより実践的な人材を生み出す方向になるのかなと思います。となれば、やはり試験内容は極端に変えることなく、カリキュラムに基づき基本とソーシャルワーカーとしての考え方を求める内容になるのかなと感じます。

 

まぁ時代によって求めるものが変わってくるのは当然です。

自分の時は細かなことを求められていた試験のように思いますが、今の試験は比較的現実的な試験になっているのかなと感じます。実際に来年になって試験が実施されてみないと今後の傾向を断言することはできませんが、一定の質は担保しつつ福祉に従事する人の基本的資格の性格を持ってくるのかなと思います。結果としてそのことが福祉従事者の地位・待遇改善につながってほしいものです。