ブラー(blur)が3枚目のアルバムを出して、ようやくはやり始めた、そんな時期(1994年)に、売れるきっかけを作った曲、「ガールズ・アンド・ボーイズ」。
ダンス・ポップだが、ちょっと、けだるい。
聴きやすくて、軽妙な節まわしの中に、トゲがある。
そういう作りの中に、若さと青さと、知的な香りがある。
ときどき歌詞の中に、大学生が勉強したばかりのような言葉遣いが出てくる。
それがブラー。
まあ、だから、アイドルとは、かろうじて一線を画していたのかもしれない。
とはいえ、当時からヒップホップ・マニアのオレは、ブリティッシュ・ポップに、ほとんど興味を持つ暇も無く、まともに聴いたことが無かった。
しかし20年たった今、聞きなおしてみるのもいい。
古びてはいない。
(ヒネリがあって、歌詞の訳が難しいのも、ブラーならではのようだ。この曲も、サビの和訳が難関)
"Girls And Boys"
街はジャングル
だから、サツを呼べ!
群れを追って
はるばるギリシャまで
休みをすごすため。
今の、90年代の愛って
パラノイアじゃん。
晴れたビーチで
さあ探せ、ぬかりなく
(Street's like a jungle/ So call the police/
Following the herd/ Down to Greece/ On holiday/
Love in the 90's/ Is paranoid/ On sunny beaches/
Take your chances looking for)
女の子、いや、じつは男。
女っぽい男を好きな子。
女同士みたいに男と寝る子。
男と寝るみたいに女同士で寝る子。
いずれにしろ、ホントに愛してなくっちゃあ。
(GIRLS WHO ARE BOYS/ WHO LIKE BOYS TO BE GIRLS/
WHO DO BOYS LIKE THEY'RE GIRLS/
WHO DO GIRLS LIKE THEY'RE BOYS/
ALWAYS SHOULD BE SOMEONE YOU REALLY LOVE)
どんな仕事も避けている
だって、仕事なんて無いでしょ?
似たり寄ったりの思想家みたいに
指折り数えるお前の思想は5個。
ゴミなんて無い
ぜんぶ作り直しさ。
指に汚いマメを作れ。
「ドビス・ゼアション(キミ、スゴク、キレイダネ)」
あ、でも、まだ紹介もされて無かったね、失礼
(Avoiding all work/ Because there's none available/
Like battery thinkers/
Count your thoughts on 1 2 3 4 5 fingers/
Nothing is wasted/ Only reproduced/
Get nasty blisters/ Du bist sehr schon/
But we haven't been introduced)
女の子?いや、じつは男。
女みたいな男を好きな子。
女同士みたいにして男と寝る子。
男と寝るみたいに女同士で寝る子。
いずれにしろ、ホントに愛してなくっちゃあ。
***
**
*
同じ頃、オアシス(OASIS)という、ビートルズの劣化コピー的なバンドが現れた。
これには、ボンジョヴィ、エアロスミスと同質的な、下品でミーハーな雰囲気を感じたオレは、以来、眉をひそめ続けてきたのである。
歌詞も浅い。というか、味わう部分がほとんど無い。
「つねにオレは夢を見続けている」ってのが、一貫したテーマ。おそらく、それ以外に、発想が無いのだろう。
この頭脳放棄の路線で、売れに売れてきた。売れ方がすごかった。
黒人音楽支持者のオレとしては、それも苦々しいことだった。
オアシス解散後、ノエル・ギャラガーとハイフライング・バーズ、っていう、ポール・マッカートニーとウィングズの模倣バンド的なものになってからも、歌詞の内容は同じ。
「夢を見続けるオレ、夢の中じゃオレはヒーロー」。
ブレない、というか、まあ、浅いよね。
そんな、1994年のオアシス・デビュー・アルバム中の一曲で、和訳を試みる。
"Rock 'n' Roll Star"
都会で生きるオレに
ラクな道は無いぜ
日々の流れが早すぎて
オレは日を浴びる時間が欲しい
マジでゆっくり生きなくちゃ
日々の流れが早すぎる
輝く星空のために生きている
時間の無駄だなって、人は言う
頭にエサをやれよと言われたが、
オレにとっちゃ、それはベッドで休むことだった
オレは、車に乗り、マジで遠くへ走るのさ
お前らは、オレたちに無関心だが
オレの心の中じゃ、夢が生きてる
今じゃ、お前たちも、オレの感じ方を気にしてる
今夜、オレはロック・スターさ
今夜、オレはロック・スターさ
お前たちは、本当のオレをわかっちゃいない。
見ろよ、今夜、お前たちは、オレの手の中さ。
今夜、オレはロック・スターさ
今夜、オレはロック・スターさ
ただのロックンロールさ
ただのロックンロールさ
I live my life in the city
There's no easy way out
The day's moving just too fast for me
I need some time in the sunshine
I've gotta slow it right down
The day's moving just too fast for me
I live my life for the stars that shine
People say it's just a waste of time
When they said I should feed my head
That to me was just a day in bed
I'll take my car and drive real far
You're not concerned about the way we are
In my mind my dreams are real
Now you're concerned about the way I feel
Tonight, I'm a rock 'n' roll star
Tonight, I'm a rock 'n' roll star
***
**
*
空想のマッチョ志向、とも言える、オアシス。
それに対して、ブラーは現実をシニカルに眺めている。
現実に関わりたくないオアシスと、現実を辛口で突ついてみるブラー。
現実回避というか、現実逃避の仕方が異なるともいえる。
肉体労働なんて嫌だというオアシス、それに対して、仕事がなくブラブラしているブラー。
そして、オアシスの支持者が多かった。
いまだに、そういうことなのだろう。