以前の砂浴合宿の食事メニューは、あわ、ひえ、たかきびなど雑穀を使った穀物菜食が基本で、合宿最終日の朝の定番メニューはスタッフが焼いたチャパティに胡麻ペースト、ひえシチュー。とても好評で食事が評判を呼び、食事を目的に合宿に参加する人もいたくらいだった。ところで合宿を何回も経験する中、あることに気が付く。それは快医学など他の合宿講座のときより参加者の食欲が少ない傾向にあること。

 

合宿中、特に朝の散歩や運動をスケジュールに取り入れていないし、日中は砂に埋まっているだけで、そんなにエネルギーを使うこともないので普段の生活より省エネのため食欲が落ちる程度にしか考えていなかった。しかし、砂浴中にモゾモゾとからだを動かし、砂浜を歩くだけでもかなりの体力を消耗する。呼吸が深くなり、利尿が促進され、汗をたくさん出すので排泄にもエネルギーは普段より使っている。それにしても個人差はあるにせよ砂合宿中、食べる量が少なくなるわけはなんだろう?

 

この理由を自律神経から考えてみた。

自律神経は交感神経と副交感神経のバランスの上に成り立っている。体と心が「お休みモード」のときに優位にはたらくのは副交感神経である。リラックスしているとき、体の力が抜けて脈がゆっくりになったり、脳血管を拡張させる、心拍数を減らす、消化、排便・排尿を促進する。

 

砂浜の心地よい環境の中で砂に埋まっている状態は、副交感神経優位モードになっている。砂浴を終えて温泉で砂を落として戻るのは午後4時~5時。いわゆる砂の好転反応といわれるだるさはこの時間帯に訴える。尿量が増えるなど排泄が促進されている状態も副交感神経優位モードである。本来、リラックスモードでは食欲が出ても良さようなのだが、砂反応が優ってあまり食欲がでない。夕食はゆっくり時間をかけしっかり噛んで食べることも全体的に食事の量が減っている一因と考えている。このモード(反応)はしばらくつづき、1週間以上、場合によって数か月間に及ぶ。