アッサムの想い出2 | 山の声を聴け

アッサムの想い出2

 アッサムを訪れたときは、モンスーンがあけきらない9月だった。比較的晴天に恵まれたが、終日バケツをひっくり返したような土砂降りの日もあった。雨期のさなかはこんな日が続くのだろうと思うと、安宿にこもっていた俺は陰鬱な気分になった。アッサムは世界一の降雨量記録をもつ。
 アッサム州の北側はアルナチャルといって、鬱蒼たるジャングル地帯だ。ベンガル湾からの湿気を含んだ気流がヒマラヤにさえぎられて上昇し、多量の雨をもたらす。このジャングルにはさまざまな少数民族が細々と暮らしている。いまはインドが実効支配しているが、中国はチベット自治州の領内と主張している。
 アルナチャルの北辺がヒマラヤである。そこにカントという山がそびえる。当時写真がなかった。この山はどんな相貌そしているのか、どうしても目の当たりにしたくて、アッサムを訪れたのだ。
 いまは世界遺産になっているカジランガ国立公園で、はじめてカントに対面した。曇り空であったが、白い山容をはっきり見せていた。そのときこの山にいかれてしまった。この処女峰を必ず登ってやる、と思ったものだ。10年あまりでその思いはかなう。
 思い焦がれたカントの山頂に立ったとき、まったくの無感動であった。むしろ空しい。「いつも願った山頂を得たときに起こる心の空しさ」「淡い味気なさの気持」といった先輩の言葉を実感した。

 州都ゴウハティにはカーマーキャー寺院という恐ろしくも蠱惑的な寺がある。