酒は飲め飲め | 山の声を聴け

酒は飲め飲め

 上高地は二日つづけて快晴、紅葉は見ごろを迎えていた。上高地の紅葉は、紅葉(もみじ)のような文字どおりの鮮やかな紅にかける。紅より黄が勝っているのだ。この時期は穏やかで心地よいが、紅葉が終わり、秋がぐっと深まって初雪がやってくる直前の上高地がもっとも好きだ。ただ、深秋の寒さは身にこたえるようになったが。
 早朝上高地に着いたわれわれは、小梨平に移動してテントを張る。カッパ橋の雑踏から5、6分ほど上流に行くだけだが、人々の賑わいからまばらになり、土の匂いがたちこめて、雰囲気は一変する。
 テントを張り終わると、当たり前のようにプシュ、プシュとやりだす。缶ビールを飲み終えると、次はウイスキーだ。われわれ6人のうち2人はアルコールを受けつけない。4人で回し飲みし、一時間もかからずに8割方を空けた。
 それから秘密の場所へ行って、ふたたび酒盛りだ。歩いて二時間かかる。すれ違った人は、朝のすがすがしい空気の中にただよう酒の匂いに眉をひそめたり、閉口したり、不快感を味わったかもしれない。いやはや、申し訳ない。
 夜は小梨平にもどって、また宴会。盛大な焚き火を囲んで、うまいものを食べ、うまい酒を飲み……。ああ、今年も大バカをやってしまった。