飲み助と東山魁夷展で
きのうブーが帰るとき降っていた雨はしばらくしてやみ、濡れた草木を夕焼けが鮮やかに染めあげた。遠く南の菅平あたりの上空には厚い雲が覆いかぶさっていたが、少し青みがかった鈍色の山なみははっきりと輪郭を見せていた。
気温はぐんぐん下がって、夜中には20度を下回り、すがすがしい朝を迎えた。
一日のうちでいちばん時間のかかる朝の介護セレモニーを終え、朝食もすませてしばらくすると、携帯が鳴った。飲み助、由ベエからだ。
いま東山魁夷館に着いたから、すぐ来いという電話だ。由ベエは学生時代からの山の畏友である。もっともよく一緒に山に入り、もっともよく一緒に酒を飲んだ。
いま魁夷の生誕百周年を記念して特別展覧会が開かれている。由ベエは女房といっしょに金沢、白馬をバスで巡って、いま会場に着いたところだ。俺は車で会場へ急いだ。10分ほどで到着し、俺たちは会場の中で再会した。
由ベエの顔は明らかに二日酔い、酒が抜けきっていない。そのはず、朝から飲んでいるのだから。
会場は、魁夷の人気を物語るようにたくさんの人が訪れていた。俺は魁夷の絵は写真でしか見たことがない。100点以上におよぶ絵をはじめて堪能したが、改めて魁夷の世界に魅了された。だいたいきれいすぎるんだ、生の自然なんてこんなもんじゃねえ、とケチをつけたくなるのだが、魁夷の描いた自然、草や木の枝一本一本が生きて呼吸をしている。枝に積もる雪はそのまま冷たい感触を伝える。痛いほどの冷たさではない。そんな絵の中にぐっと引きよせられてしまう。でも、やっぱりきれいすぎるよ、と思う。白馬が草をはむ森の風景もいいのだが、あまり好きにはなれない。深秋、冬、雪の残る春なんかの絵がいい。
見終わってから、外に出て三人で茶を飲んだ。もちろん由ベエはビールだ。ちくしょう、俺も飲みてえんだ、という俺の気持ちなんか汲みもしないで、「うめー」といいながらぐいぐい飲んでいやがる。
それからすぐに別れた。由ベエたちはこれから昼食、もちろんビール付きの。俺は帰って、昼食前の介護セレモニーが待っている。わずか一時間ほどの再会だった。
気温はぐんぐん下がって、夜中には20度を下回り、すがすがしい朝を迎えた。
一日のうちでいちばん時間のかかる朝の介護セレモニーを終え、朝食もすませてしばらくすると、携帯が鳴った。飲み助、由ベエからだ。
いま東山魁夷館に着いたから、すぐ来いという電話だ。由ベエは学生時代からの山の畏友である。もっともよく一緒に山に入り、もっともよく一緒に酒を飲んだ。
いま魁夷の生誕百周年を記念して特別展覧会が開かれている。由ベエは女房といっしょに金沢、白馬をバスで巡って、いま会場に着いたところだ。俺は車で会場へ急いだ。10分ほどで到着し、俺たちは会場の中で再会した。
由ベエの顔は明らかに二日酔い、酒が抜けきっていない。そのはず、朝から飲んでいるのだから。
会場は、魁夷の人気を物語るようにたくさんの人が訪れていた。俺は魁夷の絵は写真でしか見たことがない。100点以上におよぶ絵をはじめて堪能したが、改めて魁夷の世界に魅了された。だいたいきれいすぎるんだ、生の自然なんてこんなもんじゃねえ、とケチをつけたくなるのだが、魁夷の描いた自然、草や木の枝一本一本が生きて呼吸をしている。枝に積もる雪はそのまま冷たい感触を伝える。痛いほどの冷たさではない。そんな絵の中にぐっと引きよせられてしまう。でも、やっぱりきれいすぎるよ、と思う。白馬が草をはむ森の風景もいいのだが、あまり好きにはなれない。深秋、冬、雪の残る春なんかの絵がいい。
見終わってから、外に出て三人で茶を飲んだ。もちろん由ベエはビールだ。ちくしょう、俺も飲みてえんだ、という俺の気持ちなんか汲みもしないで、「うめー」といいながらぐいぐい飲んでいやがる。
それからすぐに別れた。由ベエたちはこれから昼食、もちろんビール付きの。俺は帰って、昼食前の介護セレモニーが待っている。わずか一時間ほどの再会だった。