転職コンサルタントの独り言


年収200万円以下の給与所得者が5年連続で1000万人を超えた。


国税庁の民間給与実態統計調査によると、2010年の1年を通じて勤務した給与所得者は4552万人。うち年収200万円以下は1045万人で全体の22.9%を占める。


不況で正社員人口が激減し、派遣・パート労働などの非正規雇用労働者へシフトしていく中で、従来の給与体系も「月給」から「時給」へ変遷してきている。


時給は業種や地域によりさまざまだが、仮に時給1000円として計算すると、1日8時間、週に5日働いて月16万円になる。年に48週間働くと総労働時間は1920時間、年収192万円。これは税金や社会保障費を引かれる前の額面収入だから、手取りはさらに低くなる。

時給1000円は法定最低賃金と比較すれば高い方だが、それでも一日拘束されて年収200万円以下にしかならないと考えると、現実には親と同居の実家住まいや夫婦共働きでなければ「時給の仕事では食べていけない」と言えるだろうし、時給は長年働いてもほとんど昇給されないから、「時給の仕事をしている限り、一生ワーキングプアレベルの生活から抜けられない」ということになる。

いま、その非正規労働に生計の主たる担い手の就労人口が1000万人を突破した。言い換えれば、生計の主たる担い手でありながら時給の仕事で働くことを余儀なくされている世帯主が、とうとう1000万人を既に突破してしまったのである。


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私たち日本人が、人生で大きなお金が必要になるのは以下の4つだ。

①日々生きてゆくためのお金(生活資金)
②住宅購入や、家賃のためのお金(住宅資金)
③こどもの学費にかかるお金(子育て資金)
④老後や退職後の生活費(老後資金)

このうち、非正規雇用労働者が工面できるのは上述した通り、①の日々の生活資金だけであり、住宅や子育て、老後の資金の調達までお金を回すのは難しい。


したがって①必要最低限の生活以外は下記のような問題が現実に起こっている

②住宅資金が払えない → 病気やけが、失業などで簡単にホームレス化する
③教育資金が払えない → 少子化に歯止めがかからない
④老後資金が払えない → 高齢の生活保護世帯が急増する

②~④はいずれも将来にに対する「不安」であり、いままでは会社の月給から貯金などで準備してきたものだが、非正規雇用者にはそういった貯蓄できるほどの余裕がないほど低賃金ではたらくことを余儀なくされてきているのである。


企業や経済団体側は「非正規雇用は、多様な働き方の提供手段である」という主張をしているが、この数字をみる限り、企業側の主張は詭弁と言わざるをえない。むしろ最近の企業・経済団体は、国内で商品をつくっても不況で売れる見込みがないから海外進出する。国内で人件費を削減する一方、海外進出して経常利益を伸ばしても、その利益が国内の労働者に反映されていない現実を見ればあきらかである。


「一生懸命はたらけば豊かになれる」という時代は、非正規雇用の拡大によって終わってしまったかのようである。


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