コンサルティングファームで働いている方から、最近よく「社内の経営企画や事業企画への転職を希望しているのですが・・・」という相談を受ける機会が増えた。
「お客様へのサービス提供者」という立場から「自社の企画職」へのキャリアチェンジ。理由は様々で、明確なポリシーを持っている方もいれば、漠然とした希望を言う方など、仕事内容を認識せずに相談してくる方も多い。多忙な顧客サービス提供者から見れば、社内の経営企画担当者がうらやましく見えるようである。
しかしながら「隣の芝生は青く見えるから……」的な視点だけで転職を考えても実際のビジネスの場面ではそんなに甘いものではないのだ。ここでは、コンサルティング職と経営企画職をもう少し現実的な観点で対比してみよう。
1.社内での役割の違い
・経営層と近い立場の経営企画・事業企画ポジション
(企業運営全般を経営的な視点で企画、設計する)
・ユーザー部門調整と外注管理が中心の経営企画部門
(方針の大半は外部コンサル任せ。主に大規模、中規模の企業にあるパターン)
・何でも屋の経営企画部門
(経営者の秘書的な雑務や書類作成、ユーザー・クレームなど何でもこなす。主に中小規模の会社のケース)
2.企業規模/系列別
・大企業の場合: 社内調整に多くのパワーが注がれる
・ベンチャーの場合: 役割分担は不明瞭で何でも自分でやる
・外資系の場合: 本国との調整に多くのパワーが注がれる
以上のように、経営企画部門といっても色々なタイプに分類できるし、これら組織的な背景などをよく理解することが経営企画職への転身の第一歩となる。
経営企画職を志向する最大の理由は、社員の立場でじっくりと事業計画という上流工程を社員としての帰属意識で仕事ができる責任感ややりがいに尽きる。
しかしながら、下記のようなデメリットもある。
・社内のみなので経験の幅は狭まり、キャリアは固定的になる。
・直接経営陣からの納期期日結果に追われ、想像以上の業務量をこなす必要がある。
・ただの便利屋になるリスクがある。
「コンサルタント」職は顧客企業に対する事業戦略立案のプロであるのに対し、「経営企画」職は組織人として、周囲にどう振る舞えるかが鍵となる。社内の制約、人間関係、政治環境などをうまく調整しながら業務を進めてゆかねばならないし、そういった「ドロ臭い」コミュニケーション力がなければ業務を遂行できないのだ。さらに社内の理不尽な要求にも我慢しながら仕事をこなさなければならない(ある赤字企業では経営陣の代弁者としてリストラを実施し、社員からの憎まれ役となった)。
社内の経営企画職は、サービス提供者のように「私の役割はここまで」というスタンスでは臨めないのだ。
年々「経営企画」希望者は増えている。
にもかかわらず、求人案件は非常に少ないのが現実だ。何故ならば、企画部門それ自体はコスト部門であり、利益を直接生まない仕事なのだ。
貴方はお金を稼ぐ立場から、コスト部門へ転じるのだというポイントをよく理解し、「転職の目的は何か」「自分は性格的に向いているのか」「どんな企業・経営者とともに、どんな仕事をしたいのか」をよく見極めて頂きたいのである。
