僕はその男に挨拶をしてみた。



恐る恐る、声を掛けてみた。



「こんにちは。」



「こんにちは。」



何気ないこの挨拶にとても緊張した。



その男はとても腰が低く、深々と頭を下げて挨拶してくれた。



悪い人じゃなさそうだな・・・足が悪くて不自由してるんだろうな・・・




神社の職員の一人に和田さんという話し好きな人がいた。



この和田さんは誰それ構わず話しかける人だった。



「誰々さんと今から会わないといけない。


誰々さんは話が長いんだよな~


付き合いも大変だよ~ 」



おいおい、和田さんの方がきっと話が長いはずだよ。



きっと相手の方が大変なはずだ。



自分のことはわからずにいる和田さん。



人間的にはいい人なんだが・・・・



とにかくその場にいる人に、自分の話を投げかける癖がある。



知らない話を話かけられても、こっちとしては答えようがないので、愛想笑いするしかないのである。



適当に、「そうですよね~大変ですね」



なんて答えようもんならマシンガントークで蜂の巣にされて撃沈してしまうので、みんな和田さんには近寄ろうとはしないのである。



そんな和田さんは予想通り、その男に話し掛けていた。



その男は和田さんと楽しそうに会話をしている。



障害があることは私は気にしないのだが、気にして敬遠する人も多いのではないだろうか。



きっとその男は話掛けられて嬉しかったのだろう。



和田さんは毎日お参り来てくれる信心深そうなその男を信用してしまったのである。



その男にまんまと騙されることになるとは知らずに・・・・・





                                      つづく