おひさまひろば -3ページ目

北秋田を行く (4)

(つづき)

 

秋田内陸部と言えば、気になる存在は「マタギ」です。

なんとなく、熊打ちの猟師、というイメージでした。

たとえば、、

(マタギの里資料館の前にある木彫り像)

 

こんな感じで、山中にクマを追う、という鋭い目をした孤高の猟師と

勝手に思っていました。

(ゴールデンカムイ(西垣ニシパ)の影響か?)

 

ところが、縦貫線の資料館にあった写真はこのようなもので、

 

(おじさんやお兄さんが数人でにこやかにしている、、想像と違う!)

 

数人のマタギ猟師たちが役割分担をして獲物を追い詰め、

仕留めるというもののようでした。

 

 

さて、阿仁合からさらに南下し、山深い中に

「根子(ねっこ)」「比立内(ひたちない)」「打当(うっとう)」という

いわゆるマタギ集落があり、打当温泉にマタギ資料館があったので

そこに立ち寄りました。

(**この集落名がアイヌ語っぽい、、調べてみたい気になります)

 

マタギ資料館にはマタギに関する様々な資料が置かれていました。

まず、マタギの猟における役割分担とは、

下から山の上方向に獲物を追いやる(上がり巻、という猟の手法)「勢子(せこ)」、

最終的仕留める銃を持った「ブッパ (or マチバ)」司令塔である「シカリ」などに分かれ

集団で猟をするというもので、「孤高のクマ打ち」みたいなことでは

どうもないようでした。

 

また、集団で移動するため(山の中を一日40km、数日間移動するってどういうこと?!?!)、

言葉や儀式なども独特で、特に言葉は一般社会では使わない「マタギことば」というものがあり、

非常に興味深く思いました。

(アイヌ語そのままのものもありました)

 

獲物も、カモシカ(今は天然記念物のため禁猟)やツキノワグマばかり狙っているのではなく、

ウサギやテン、サルなどの動物から、キノコ狩りや魚釣りなども含まれ

それを独特の方法で獲得するというもので、イメージよりずっと多様性に富んでいました。

特に、冬の川でスコップだけで魚を追い込む「ジャカリ」は

その方法の説明を見てもさっぱりイメージできませんでした。

 

ただ、やはり最大の獲物はツキノワグマであり、

ヒグマを仕留めたアイヌにも似た、特別の儀式があるのも

非常に興味深かったです。

 

(クマの解体にも使われるナガサ)

 

マタギとは何なのか、一言で言うのは難しいものだということは

わかりました。

ただ、マタギは単に「猟師」というよりは、もっと意味の広い、文化のようなもの、

ということだけ感じてマタギの里を後にしました。

 

(もうちょっと、つづく)

 

 

 

 

北秋田を行く (3)

(つづき)

 

前回秋田に行ったとき、角館というところに行きました。

桜が有名なところでしたが、桜はすべて終わっており、

それはちょっと残念ではありました。

ただ、そのときに角館駅に行って、そこに秋田新幹線「こまち」をみたことと

角館駅から「秋田縦貫線」という路線があるということを認識したことが

ひとつ収穫でした。

 

JRではなく民営で、大きな町が一つもない内陸の路線が

どうして出来て、今も維持されているのかは謎で、

どんなところなのかを一度乗って確かめたいと思っていました。

ただ、旅行の行程上、乗車するとレンタカーを乗り捨てなければならないので

今回は乗車は断念して縦貫線と並行して南下することにしました。

 

(JR鷹ノ巣駅と隣接していますが、素っ気ないJRの駅とは真逆の楽しさのある駅です)

 

縦貫線の起点は鷹巣駅です。JRと駅もホームも隣接しています。

やや広くてがらんとした、いかにも過疎地の駅らしさがあるJRとは対照的に

情報や写真、お土産が狭い待合室にひしめいている駅でした。

駅員さんもとても親切で、縦貫線の別称「スマイルレール」は偽りなしでした。

そこで「お土産屋さんは阿仁合駅の方が種類も数も多いですよ」と教えてもらい

そこを目指すことにしました。

 

ここから出発して、縄文館のすぐ近くにある「縄文小ケ田」を通過して

さらに南下するとまもなく山あいに入っていきます。

合川、米内沢と合併前の旧町の中心部はいずれも寂しい佇まいで

鉄道が存続し続けるのは大変なことのように思いました。

 

更に山の中を進んでいくと、目的地の一つ、阿仁合駅に到着しました。

ここは縦貫線のほぼ真ん中で、もともとの旧線名「阿仁合線」の由来でもあります。

駅は比較的大きく、レストランと教えられた通り充実したお土産屋さんもありました。

それもそのはず、縦貫線の本社所在地なのでした。

 

(両側を山に挟まれた細長い土地に大きな車両倉庫もありました)

 

駅の脇に資料館があったのでそこに寄ってみると

阿仁合はかつて日本三大銅山のひとつで

明治に入って外国人技術者や多様な文化の流入も相まって

かなり栄えた町だったようです。

他の炭鉱町と同じように昭和53年に閉山すると急速に過疎化は進んだようです。

 

駅から少し離れたところに、外人技術者のための旧異人館と伝承館があり

行ってみました。

異人館は明治の初めに二棟造られ、一棟は残念ながら焼失していますが

現存するものは有形文化財に指定され保護されています。

ハイカラで洋風、天井も高くて時代を感じさせます。

北海道にも何か所か似たような文化を感じさせるところがありますが、

ここは本当によく保存されていると感じました。

 

(建築当時のガラスやレンガ造りがしっかり残っていました)

 

(つづく)

北秋田を行く (2)

(つづき)

北秋田には世界遺産が二つあり、
ひとつは日本で最初に世界自然遺産に選定された
「白神山地」
これは秋田と青森間に道路建設を使用した際に
自然を守ろうとした運動とリンクしていたようです。

もう一つの世界遺産は
「北海道・北東北の縄文遺跡群」です。
これはかなり広範囲に及んでいて
北は北海道千歳のキウスで、南が今回行ってみた北秋田市の
「伊勢堂岱遺跡」です。
ここも白神山地と同様、高速道路建設に伴って発見され
保護運動から世界遺産につながっているところが共通しています。

例によって(?)予備知識も大してないままに訪れたので
遺跡の隣にある「縄文館」というところで情報収集します。
開館前の時間に到着したにもかかわらず、中に入れてくださって
動画と資料でしっかり学習できました。


(縄文館内の精巧なミニチュア。奥の台地が遺跡でここにストーンサークルがある)

遺跡は周囲から浮き上がった台地状の土地にあり、
ここに円形の石が並べられていたことから遺跡の発見につながったとのことです。
サークルは4つあり、正確な円形ではなかったり、石の並べ方が違っていたり
興味深く思いました。

そしていよいよ遺跡に行きます。
台地に上がるための階段を上ると大きなサークルがありました!


(ここはやはり、お祭りや祈り、会合の場所であったと思いました)

この台地からは遠くを見渡すことができ、
砦としての機能もあったかもしれません。(北海道でいうところのチャシみたいなものか)


(大地の縁からは遥か遠くに白神山地の山々が望めます)

白神に住む人たちは「山に行けば生きていける」と言います。
山には食料にできる植物も動物も豊富にあるからです。
それは縄文のころから続いている、ということがこの地に来てみると
よくわかります。

釧路で昨年、土器についての特別展示があった時に学芸員さんから
北東北から渡ってきた文化について説明がありました。
安定して食料を得られることが縄文の時代にはなにしろ重要なことであり、
この豊かな土地があって、文化が進んだということも「なるほどそうだよね」と
実感できました。

そういう意味では、太古の自然を残す白神山地とかつての進んだ生活と文化の遺跡が
隣り合わせであることはまったく理にかなっている、と思いました。


(それにしても北秋田は面白い)

(つづく)

北秋田を行く (1)

二年前、秋田を所用があって訪れたとき、
角館、男鹿半島、鳥海山、八郎潟を見て回り
飲食も含め、すっかりファンになりました。
またいつか行ってみたい、と思っていたのですが、
意外にも早く、その機会がやってきました。
今回は前回行けなかった、秋田県の北部(および内陸)を旅しました。

 

秋田空港に着いてから、まっすぐ北へ向かいます。

目的地は藤里町という町で、

青森県と秋田県にまたがる世界遺産、白神山地の南側になります。

 

(世界遺産センター。GWですがほとんどお客さんはいませんでした)

 

白神山地は日本で最初に世界自然遺産に登録されたところですが、

あとで登録された知床のようには有名ではなく、屋久島のようにわかりやすくはなく、

どういう理由で選定されたのか気になっていました。

中にあったビデオや資料はそれほど詳しいものではなかったかもしれませんが、

そこがどういうところなのか、おおまかにはわかるようにできていました。


白神山地は目立って高い山があるわけではありませんが、

起伏があり、容易に人を近づけない地形がまずあって

そこにくらす動植物の多様性があり、

特に落葉樹が多く、ドングリなどの木の実も豊富にあり

(一本のブナの木から5万個(!!)って・・)

人間を含めた生き物が生きていくのに十分な森であることが説明されていて

非常に印象に残りました。

 

(近くには何か所か滝の名所がありました)

 

自然はしっかり保護されており、かなり歩かなければいけないところや

結構危険なところ、そもそも入れないところなどエリアが分かれていて

かなり広いと感じました。

またトレッキングするには青森側からがアプローチしやすい印象で

今回は「さわり」ということでセンターを後にしました。

 

帰り道、ダム湖と公園があってそこに立ち寄ると

満開の桜を見かけました。

山間部だから、まだ残っていたのかもしれません。

 

(前回は角館に行ったけど桜は散った後でした)

 

白神にはまた来て、今度は歩きたい、と思いました。

 

(つづく)

押し寄せてくる

今日、当番病院の代休で少しランニングに出てみました。

気持ちの良い天気でした。

今シーズン初めて貝塚公園に行ってみました。

小さなゲキ坂を上ると広々とした空が広がっていました。

 

(まだ葉が生い茂っていないので見通しはいい)

 

暖かな日差しの中、歩を進めて

材木町まで来ました。

そこで見たのは、押し寄せてきた霧でした。

 

(河口はすでに霧の中)

 

気温が上昇すると霧が出てくるのですが、

今週初めの悪天候から一転して急に暖かく感じられるようになったので

霧ももくもくと海側から押し寄せてきた感じです。

 

(火事ではありません!)

 

帰り道はこの霧の中に突っ込んでいくように走ったので

急に冷え込んだように感じられました。

自宅につく頃には霧を抜けた(追い越した?)ので、今度は暖かく感じられ、

釧路の気候は本当に面白いと思いました。