もう9年前。
今は外国で活動している友人とともに、ボランティア活動に赴く。
その中で出会った女の子。
7名だかでその場に行った。
友人は子供たちを巻き込んでサッカーをしていた。
ボランティア活動に参加したメンバーはおのおの、
ある人は本を読み、ある人は肩車してたり。
だが、その女の子だけはどこにも参加しようとしなかった。
どうしてか気になった。
施設に入ったばかりで馴染んでいない。
その事は聞いていたがそれが原因ではないように思えた。
僕を除けば6名もの人間がいる。
だったら、まぁ、いいだろう。
僕はその女の子の横に座った。
少し話す。
応えず。
もう少し話す。
応えず。
独り言を言ってみる。
応えず。
僕も懲りずに2時間くらい、そんな事を繰り返す。
最後の方はもうずっと、独り言。
気が付くと女の子は大号泣。
なんで泣いているのか、よくわからなかった僕はオロオロ。
でも、泣き止んだ後はその女の子は僕の傍から離れようとしなかった。
18歳になった彼女と昨日、会う。
小学校卒業と、中学2年生の時に会った以来。
手紙やメールとかで色々話は聞いていたけれど、
おばかな友人たちに囲まれて、楽しく過ごしているようだった。
キレイになってたなぁ。
かわいくなってた。
新宿の街をおっさんと女子高生。
この組み合わせの周囲の視線の痛さを彼女はもろともせず、
おっさんに話しかける。
何年か前に9歳の彼女が泣いた理由を聞いたのを思い出した。
両親が不慮の事故で亡くなって、色んな人に
「辛いね悲しいね、でも頑張ってね」ばかり言われて、
泣きたかったはずなのに泣けなくなって、よくわかんなくなってた。
泣いちゃいけない。
いつの間にか、そう思ってしまっていた。
そんな時だったらしい。
泣いてからの彼女は
必要以上に人の目や人の話を気にしないようにしているんだそうだ。
そして自分の将来を決めたそうだ。
いや、厳密には少し前から決めていたそうだ。
幼稚園の先生になる。
「先生は応援してくれますよね?」
何故か、僕は彼女の前では先生になっている。
「いつまでも俺がいると思わずにな…」
そう言うと彼女は
「大丈夫。
いざとなれば園児+先生の介護は出来ますから!」
と屈託なく笑う。
そんな時間を僕は過ごした。
今度はいつ会う事になるだろう。
今から楽しみだ。