2022年12月28日(水)午後3時33分 広島県東広島市
5.糸崎14:54発→瀬野15:53着 普通327M/岩国行き クモハ227-52
山陽自動車道との並走は続き、西条のインターはそろそろか。周囲が開けてきた。
西条に来ると側線が広がっており、貨物はここで補機を切り離すこととなる。この次に新設された寺家と合わせて周囲は住宅が多く、乗ってくる客が多い。
さく「東広島ってここからどのへんだっけ?」
なぎ「…お前も調べろ。」
八本松から瀬野にかけ、勾配の長く続く区間となる。この勾配に対処するため、坂を上がる貨物は補機が必要となるのだ。
もも「…その、補機とやらって?」
めぐ「EFの210で、前でもイケるヤツ。」
国道2号と並走しつつこちら向きには下っており、貨物は補機を必要としない。さあ、そろそろ瀬野に着く。
名古屋から岡山まで新幹線に乗り、在来線へ乗り換えて合計4時間55分で到着。瀬野では八本松にかけて上り勾配を上がっていく貨物が補機を連結することもあり、2面4線という主要駅らしいホーム構成となっていた。
めぐ「こういう感じだと、たまにどっちが本線かわかんなくならない?」
なぎ「あ、まっすぐだと基本内側。」
(S)JR運賃:岡山→瀬野 2640円
ICカードで改札を出るとなかなかの金額が引き去られた。そんな瀬野の橋上駅舎はコンパクトにまとまっており、改札機も券売機も少な目。ここからは広島市内となるだけあり、利用は多いようだ。
これから乗るモノこそ、今回最大の目的とした『スカイレールサービス』。駅名は『みどり口』といいJRの瀬野と分けられているものの、すぐ近くにあるばかりか橋上駅舎から階段を降りることもなく直結している。
もも「こんなあっさりあったの…。」
さく「じゃあ、もうあとは早いね。」
(現)スカイレールサービス片道乗車券:均一 170円
もちろんJRでないため、今回の旅行方式にかかわらず別途乗車券を購入しなければならない。運賃は全2区間で均一となり、乗車券に印字されたQRコードを改札にかざして入場する仕組み。
なぎ「これだけシステム新しいのも、な…。」
循環式ロープウェイと懸垂式モノレールを足し合わせたような『スカイレール』は、日本国内で広島市瀬野にしかない。近未来的で先進的だった設備も、その独自性ゆえに維持管理は苦心したことだろう。2023年までに廃止が決まり、乗ってみたくなったのだ。
もも「本当、こういうのわかりやすい。」
さく「一応前から気にはなったけど、行けなかっただけだし。」
発車した後ながら、ロープウェイのような"小型車両"はすぐに入ってきた。現状は日中15分間隔で運行されるものの、システム上は最短75秒という短い間隔で運行できるらしい。
もも「アンタやっぱ裏で回してんじゃないの?」
めぐ「そんなことないよ。カードローンのCMじゃないし。」
6.みどり口16:00発→みどり中央16:05着 みどり中央行き スカイレールサービス203
車内もロープウェイらしく、4人ずつ向かい合わせに座席があるほかは立ちスペースとなる。無人運行が前提となるため乗務員室はない。
さく「こうなったらロープウェイも…。」
もも「乗るってんでしょ、絶対。どこかわかんないけどさ。」
先に出た"便"へ多く乗車しており、こちらはあまり乗らないまま発車。普通鉄道では不可能な急勾配をいきなり上がっていく。小型ロープウェイやリフトと同様になかなか揺れ(重心の傾き)が大きく、慣れない身にとっては少々恐怖感すら感じられる。
なぎ「揺らすなって。」
めぐ「揺らしてない。」
向かう先は高台の住宅地。眼下にはスーパーが構えている。遠目に眺めれば周囲を山々に囲まれ、少々のギャップらしく…。
めぐ「…んだっけ?」
もも「本当、そういうまとまんないのに口出ししない。」
丘陵に沿って開発された住宅地を回り込むよう、勾配と共にスカイレールは上がっていく。カーブもなかなかきつく造られ、小型車体らしく小回りの良さを見せつけている。
なぎ「本当、すげえなこれ。」
もも「あんなとこまで、こんなのよく作ったよね…。」
見下ろせばひたすらに整然と、戸建て住宅が立ち並ぶ地。周囲の山々を気にしなければ、特に地元住民にとってなんて事のない景色だろう。
めぐ「…屋根の形かな?」
もも「え、何。わかんない。」
唯一の途中駅として『みどり中街』がある。運賃は均一であることから、来訪者にとってはどうしても扱いづらく感じてしまった。住民にとっては"最寄り駅"なので、なんて事もないのだろうが。
まだまだスカイレールは勾配を上がっていく。崖のような急斜面に沿ってスカイレールの構造物が設けられ、区画が明確に分かれている。悪く言えば地域を隔てているようなものか。
さく「落っこちたら大変だよ。」
なぎ「大丈夫か、落っこちんな。」
さあ、そろそろ『みどり中央』。最高速度は15km/h程らしく低く、距離が短くもなかなかの乗り応えであった。この感覚は懸垂式モノレールたる、湘南モノレールや千葉都市モノレールでは味わえないだろう。
もも「ほら…、次絶対乗るって決めてる。」
めぐ「決めてないって、まだ。」
麓の駅から5分で到着後、やはり循環式ロープウェイのように折り返していく。そのため乗り続けることは物理的にできなくなっている。
(西日本では唯一の交通システムと共に つづく)
めぐ「途中ですけど、1回ここで区切ります。ということで新幹線で岡山、在来線で瀬野へ乗り継いで。スカイレールが今回の目的でした。まあ廃止迫った設備だけで…、後は期待しないでください。では一旦失礼します。」