2023年7月21日(金)午後5時15分 熊本県阿蘇市
18.大分15:23発→熊本18:30着 特急あそぼーい!/熊本行き キハ182-1001
阿蘇山を見ながら、阿蘇を後にする特急列車。残す距離もそうだが、この先にも見どころは待ち構えている。タイミングを逃さないようにしておきたい。
阿蘇の山をズームアップさせてみよう。世界有数のカルデラを形成し、なかなか開けた…。ごめん、まとまらない。
この『あそぼーい!』は赤水に停車した。特急が停車する駅にして、駅舎は待合室しかない無人で小ぶりなもの。調べればこの駅舎、かつての駅舎が熊本地震で被災された跡地に再建したものらしい。
豊肥本線は国道57号と並走している。地震で崩落した橋が近くにあるということだが、しばらくすると現れた。この阿蘇大橋そのものは国道325号の橋となる。
復旧に当たっては隣接地を経ていくこととなり、2021年に新しく開通することとなった。このコンクリート橋はなかなか地面から高く、結構なスリルがありそうだ。
さあ、そろそろ豊肥本線の"名物"。スイッチバックを前にして、風力発電のプロペラが遠目に林立してきた。
そして見どころとなるスイッチバックに差し掛かる。赤水から立野までは高低差が大きいため、この進行方向でいえば一気に下ることができない。キハ183は停止すると、運転士が4号車から1号車へ移動する。
進行方向を変え、立野にかけてゆっくりと下っていく。篠ノ井線(姨捨)や旧信越本線(二本木、現:えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン)と異なり、そのままバックするには危険。眼下の国道57号もまた、熊本地震で被災しているという。
肥後大津,熊本方向からの線路が合流すると、そろそろ立野の駅だ。
立野では4分停車する。隣ではこれからスイッチバックを登っていく、キハ220の普通が備えていた。
立野のJRホームは1面2線式であり、行先ごとに線路が使い分けられている。運転士はホーム上を、1号車から4号車に向けて再度移動する。
2020年に復旧したJRに対し、直通する構造の南阿蘇鉄道は全線復旧が2023年まで要していた。この南阿蘇鉄道からJRへの直通も同時に開始され、立野ではスイッチバックを経ることがない。
そのまま山を下っていき、建物が多くなってきた。観光的要素もそろそろ終わりを迎えることとなり、熊本まで最後の"追い込み"にかかる。3号車のカフェも営業を終えることとなる。
肥後大津からは電化されており、熊本に向けて普通の本数が多い。南阿蘇鉄道が乗り入れてくるのはここまでとなる。熊本空港へのアクセス鉄道も、ここから分岐する予定だ。
熊本市内に入っており、光の森に停車。単線のまま続いており、ここまで来ると交換待避も多く。この『あそぼーい!』も特急でありながら停車駅が多い。
この区間が電化される以前、ディーゼル機関車牽引によって電車特急『有明』が水前寺まで乗り入れていた。電化開業後は特急『有明』がそのまま肥後大津まで乗り入れ、九州新幹線開業まで続いていた。周辺は集合住宅ばかりで、非電化当時の様子はどうだったかと…。
特急車両のマスコットキャラクター、犬の『くろちゃん』こと『あそ くろえもん』。この4両編成に合計101体いるというが、探す余裕はとてもない。
熊本から1つ手前の、その名も『平成』で交換待避する。入ってきた普通は815系であり、多くの乗り降りがあった。
最後に新幹線と鹿児島本線が合流し、豊肥本線も高架へ上がる。大分から阿蘇を経て九州を横断し、熊本まで乗ってきた旅も終わる。
別府を始発として、大分から乗ること187分。熊本の豊肥本線ホームに到着すると、そのまま回送となった。
ここまで乗ってきた、運転席を上に設けて前面展望型としたキハ183。今回はたまたま豊肥本線制覇に合う時間だったのだが、乗れてよかったと思う。これにて『ぐるっと九州きっぷ』の目的はほぼ果たしたことだ。
そんな熊本の在来線ホームは、やや変則的に切り欠き形状を持つ2面6線式となる。基本的に鹿児島本線と豊肥本線は、ホームが分けられることとなるかと。
階段から降りたコンコースも、高架工事完成後は初めてだったりする。10年前(2013年9月)は新八代から熊本をスルーして大牟田まで乗ったため、今回はじっくりと見ていきたい。
(つづく)