2022年7月19日(水)午前9時19分 佐賀県武雄市・武雄温泉駅

3.武雄温泉9:23発→長崎9:54着 新幹線かもめ9号/長崎行き 721-8004
 新幹線ホームにいるのは専用の塗装を纏った、6両編成のN700S(8000番台)。列車名『かもめ』はカラー表示に対応しつつ、赤と青を併用して使い分けがはっきりしない。車両形式そのものはむしろ、旧来の700系に先祖返りしている。


 デッキには長崎県や佐賀県の工芸品が飾られ、ミニギャラリーとなっていた。暫定形ながらも専用設計で、力の入りかたがよくわかる。


 3両ある指定席は2列2列で座席が並び、九州新幹線専用の800系に倣って背もたれは木製となる。背もたれは結構高いようだ。


 西九州新幹線専用のチャイムと共に武雄温泉を発車。この先はトンネルが多くを占めており、景色はあまり楽しむことができないらしい。


 指定席には背面テーブルがなく、インアーム式で中央部の肘掛けにテーブルが内蔵される。1席ずつ使用可能なコンセントも同じく、センターアームレストに付いていた。リクライニングの量はまあまあだろう。


 嬉野温泉は開業した西九州新幹線の駅で唯一、他の路線と接続しない単独の駅となる。シンプルに相対式ホームとなっており、見たところフル規格8両分のスペースはなさそう。


 嬉野温泉から新大村にかけて、貴重な切れ間があった。そこからは大村湾の海を眺められ、路線の見所となる。天気もすっかり晴れるようだ。


 新大村が近づき、海はさらに近づいて見られる。大村湾は右側にあり、今回指定したのも右側。小倉から武雄温泉のリレー特急が自由席になったことといい、選択は全て正しかったのだろう。


 新大村は新幹線開業に合わせて、在来線となる大村線にも駅が設けられた。同じく2面2線式のホームで、見たところフル規格7両分の長さになるだろうか。始発と終着の便があるため、反対側に向けても停止位置などの表記がある。


 諫早に来ると周囲は海から遠く、丘陵地に住宅がいくつかあるような景色となった。


 諫早の新幹線駅も同じく相対式ホームで、このままフル規格8両というのはやはりきつそうだ。在来線は大村線のほかに、江北で分岐していた長崎本線が合流する。経過時間はともかく、距離感として久々に思えてしまった。


 長崎に来ればそこは都会らしくあり、坂の多い街となる。専用のチャイムと共に、鉄路は終わりを迎える。


 武雄温泉から31分。小倉から合わせれば2時間45分の旅路を終えて、長崎の新幹線ホームに到着した。ここからは何も、この14番線ホームにない。


 新幹線の終端を見ておこうか。ここが正真正銘の終着駅となり、ここから先に線路は繋がらない。ホームは現状からそこそこ手を加えれば、フル規格8両分を確保可能なように思えた。


 とりあえず武雄温泉のほうをも見ておきたい。目標は新鳥栖まで延伸させることで、やがては新大阪への直通も視野に入る。東京への直通需要までは乏しく、フル規格16両固定ならばこちらが難しいか。


 ここまで乗ってきた、西九州専用の6両編成N700Sを見よう。前頭部の塗装模様も、本州で幅を広げるN700Sとは異なっていた。ドアが閉まると、そのまましばらく待機することとなる。


 ホーム上にはエレベーターやエスカレーター、空調完備の待合室がある。発車案内は3色LED式となり、レイアウトなどは先に開業した鹿児島ルートに準じている。


 広々としたコンコースはレンガ調で、新しくも落ち着かせてくれよう。ガラス張りの待合室も、どこか素敵な印象を受けた。

 トイレに入っておこう。洋式便器に洗浄機能は付いていながら、洗面所には石鹸液の装備がなかった。それこそ名鉄のように、石鹸液を市販の容器に入れて置いてくれればいいと思う。


 新幹線の自動改札機は、在来線への乗り換え用共々少なく寂しい。コンコースの待合室は在来線用であり、新幹線の改札内からは入ることができなかった。

(つづく)