さく「お待たせしました。4年弱ぶりとなる青春18きっぷ日帰り企画の、…11回目となりましたか。午前は関西国際空港を、じっくり見てまいりました。午後の目的地は御坊となります。果たして、最終回までどれだけかかるのでしょうか?


2016年4月9日(土)午後2時25分 和歌山県和歌山市

11.日根野14:06発→和歌山14:37着 紀州路快速4559H/和歌山行き モハ224-5014
 山間を抜け、左側を見ると眺めがいい。和歌山県に入ったのだろうか。
もも「そうならそうでいいけど…。」
さく「和歌山って2010年代ってあった?」
もも「何がよ?」
さく「最後って…、和歌山市で完全制覇とか言った大晦日。」


 紀ノ川を渡る225系。和歌山県内において、以前より快速が停車していた紀伊と六十谷。加えて、以前は停車しなかった紀伊中ノ島に停車。


 31分で和歌山に着く。223系を見ただけで新しさを覚えた昔が、懐かしくもある2016年の春。
もも「また、何を昔のこと考えてんのよ?」



12.和歌山14:50発→御坊15:50着 普通359M/御坊行き モハ224-5024
 関西空港の出発を45分繰り上げたため、30分間隔となる御坊行きにすんなり乗ることができた。ここからの紀勢本線は『きのくに線』と称され、路線記号[]も新たに制定されている。2本連続の225系で、まあまあな乗車ぶりとなれば発車。
もも「…にしてもだけど、この案内どこまで行っても流れるもんよね。」
さく「見えるラジオじゃないし…、どこから流すか知らないけど。」


 しばらくは和歌山市内を進み、これといった特徴もなさそうな景色が続く。ドアは乗客でボタンを押して開閉する方式となっており、おそらくは夏の時期に冷房効果を高める目的がある。
めぐ「…今だってちょっと暑いかも。」
なぎ「階段使ったからか?」


 次第に山めいた景色の中で、宅地が開発されて分譲中。これは和歌山市内に土地の余裕がなくなったのか、ちょっとでもリゾートっぽい場所から通勤したいという希望に応じたのか。
めぐ「…ごめん、いいことばっかりじゃなかったかも。」
もも「今更そんなこと…。」


 高架に上がり、海南からは工業都市らしい景色が見られた。ここからはこれまで、旅行班が一切乗っていない区間となる。
なぎ「まあ、これで私らもクリアと。」
もも「本当、抜け駆けなんてさ…。」
さく「悪かったって、そっちの都合考えてなかったんだし。」


 冷水浦と書いて"シミズウラ"と読む駅。高台の無人駅にある相対式ホームと、散っていく桜。海南まで乗った2008年当時は113系が幅を利かせ、その中に交じった117系にも乗っている。2016年では完全に225系や、共通運用を組む223系の独壇場となってしまった感じがあった。
さく「それにしてもずいぶん広いこと顔出すよね、環状線からこんなとこまで。」


 そして待望のオーシャンビュー。上下線で高さが異なるのは、ある種景色を見てほしいという配慮なのかもしれない。
なぎ「…前ってまだ見てなかったんだっけ?」
めぐ「ここまではまだ乗ってないけど。」


 海を眺められる区間は決して長くない。基本的には山間を行く田舎路線であり、電化された複線であることから速度も比較的高め。やがて見えてきたのは、東燃ゼネラル石油の工場。
めぐ「何かね…、家族が使うのかな?エッソエクスプレス。」
なぎ「お前、原付もそこか?」
めぐ「まあ…、場所とか気分にもよるけどね。」

 

 後の業界再編でENEOS和歌山製油所となり、2023年に閉鎖される予定とされた。



 箕島に停車。箕島高校はかつて高校野球の強豪で知られ、甲子園で伝説の試合を繰り広げた。現在は智辯和歌山に強豪校の座を明け渡した感があり、そちらの最寄駅は黒江。偶然か必然か、この列車で両駅とも通っている。

 余談だが高校野球では延長戦でのタイブレーク制度が順次導入され、2023年の選抜大会からは延長10回以降。0アウト1,2塁からイニングを開始。これにより延長戦の短縮化が見込まれる。


 有田川と紀勢本線。山が近く、海からは完全に離れている。
さく「…こういうの好きなんでしょ。」
なぎ「悪いか。」


 しばらく並走して、ようやく渡った225系。下流域は川幅が広く、橋の規模は大きくなるもの。
めぐ「下流ってより、中流とか河原とか石とかね…。」
もも「水がきれいに流れてるとかじゃなくって?」


 湯浅に停車。この路線に新しく制定されたラインカラーは青系であるためか、駅名票は従来の青ベースで交換されていなかった。特急『くろしお』は列車によって停車駅が異なり、比較的停車駅の多い列車は箕島,藤並,南部と共に停車する。
さく「…だから何さ?」
めぐ「なんか…、変わってるのかなって。」


 広川ビーチは相対式ホームを持つ無人駅で、名前に反して海岸から遠い。
もも「ここから…、なくない?」
なぎ「私らはない。」


 そこから少しして、遠目ながらようやく海が見えてきた。冷水浦を出たところで海を見ており、それ以来となる海。


 紀伊由良は興國寺の最寄り駅であり、尺八,味噌,醤油発祥の寺とある。いつしか車内は空きが多くなっていた。
めぐ「…帰ったら調べときます。」

 1227年に高野山金剛三昧院の『願生』が創建し、親交のあった『心地覚心』が宋から帰国すると1258年に迎え入れ開山。宋から連れ帰った居士によって普化尺八が伝わり、宋で習得した金山寺味噌の製法が弟子から人々へ伝わり。醤油が誕生するきっかけになったという。(以上、ウィキペディアから引用。)


 和歌山からは1時間の乗車で御坊に到着。ここから紀伊田辺までは普通列車の本数がさらに半減し、1時間おきの運転となる。ここまで乗ってきた225系は安全対策のため、四角く強そうな面構えをしている。
めぐ「結構好きなんだけどね…、これ。」
なぎ「新しいのが丸くなったからってか?」
さく「丸くなったよね、521とか227とか。」


 跨線橋の中段から側線の向こう側を見ると、まさしく田舎と山林の風景。駅の出入口は片側にしかなく、反対にあたる側は開発などがなされていないとわかる。

もも「…だから、何が見たいのよ?」
(つづく)