2016年9月17日(土)午後5時5分 三重県四日市市・大矢知駅
4.近鉄富田17:01発→西藤原17:47着 西藤原行き 101
JRからの線路と合流し、大矢知からは正式に三岐線となる。旅客列車の全てが近鉄富田発着となった今でも、貨物列車のためにJRへの線路が存在している。旅客列車向けに活用しない要因はどこにあるのだろうか?
さく「それもいいけど…。今日ってわざわざ原付じゃなくって、最初から時間使ってたらもうちょっと乗れたと思うよ?」
めぐ「考えたけど、もう遅いし。寄りたいとこあってそれ考えたら、ちょっと遅くなっちゃった。」
もも「アンタはまたさ…、何したかったのか知らないけど。」
三岐線の景色はというと、田舎めいた中にポツポツと住宅が見られるようなもの。方向そのものは北勢線とあまり変わりなく、終着駅はいなべ市にある。この三岐線ではサイクルパスなる制度があり、大矢知から西藤原まで休日は自転車を持ち込むことが終日可能となる。実際、大矢知から持ち込んだ客がいた。
建設が進められていた新名神高速の橋梁。四日市ジャンクションから東海環状の東員インターへのルートが開通しており、途中の新四日市ジャンクションから鈴鹿トンネルまでの区間を工事。完成し開通したのは2019年3月のこととなる。
保々で少々停車時間がある。ここは車両基地などを備え、運行上の拠点ともいえる。時刻は夕方の5時17分、9月の下旬になれば日も沈んできている。
さく「この時間は大事。」
なぎ「いいから、早めに戻ってこいよ。」
保々を出て、次第に山のほうへと入っていく三岐線。
めぐ「…つなげられないかな?」
もも「何、JRとまたやろうって?」
めぐ「それもだけど…、今日結局始めるの遅くなっちゃったじゃん?」
もも「そりゃアンタが原付でどこ行きたかったか知らないけどさ。」
大安は三岐線で主要な駅の1つとなり、立派な造りをしている。
さく「だったら、…いっそ別の日に出てキハ25も乗っちゃって。」
めぐ「いいね、それ。」
もも「遅い遅い。そういうのは最初に決めとくものよ。」
なぎ「…アレ狙うか?」
めぐ「臨時はちょっと気になるね。」
三里から先は、平日でも終日自転車の持込が可能。左側は住宅に遮られるようで、地形もあって遠くを見渡せない。
めぐ「いいよ、帰り逆見るし。」
もも「見れたらいいわよね、もう暗くなってるってのに。」
東藤原にいたのは太平洋セメント所有のホッパ車で、フライアッシュ及び炭酸カルシウム専用とある。三岐線の貨物輸送はセメント関連によるものであり、このためにJRの線路が存続しているようなもの。
碧南火力発電所から出たフライアッシュを東藤原のセメント工場へ運び、その逆ルートで炭酸カルシウムを発電所へ運ぶ。他に完成したセメントを四日市港へ運ぶ貨物列車がある。
さく「ま、とりあえず1つ押さえられたしいいんじゃない?」
めぐ「一応…、まあいいけど。」
東藤原を出ると山間部から一転、セメント工場が現れる。しかしながら進行方向左側からはよく見えないので、復路で見ておきたい。その先は再び山間を進み、西野尻は三岐線で唯一の無人駅で券売機もない。
45分強ぐらいで西藤原に到着。距離は26.6kmと北勢線より長いものの、通常の線路幅とあって最高速度が速く所要時間が短かった。駅名標は通常のものだけでなく、木製に見えるものも。線路は1本のみが営業用に使われている。
この西藤原は藤原岳や御池岳の登山口に近く、最寄り駅として歓迎の看板がある。有人駅であり、窓口で乗り放題パスと共に見せた近鉄の乗車券は回収されなかった。
なぎ「時間ないから早くな。」
西藤原の駅舎はSLをかたどった、待合室だけでなく簡易郵便局も入居する立派なもの。駅前からはバスなどの発着がほとんどないため、ロータリーといったものもないようなもの。北勢線の駅からの連絡もよろしくない。
駅前の公園には踏切警報機がある。これは保存目的だけでないようで、後で調べたところかつてミニ鉄道が敷地内を通っていたとわかった。営業終了から幾分経過した今でも名残をとどめている芝生広場。
その他、駅では機関車が保存されている。保線用であろう車両と、小型の凸型電気機関車。そして蒸気機関車。
めぐ「あ、もう時間ない。」
せっかく来た西藤原だが、今回の滞在時間は5分だけ。ここから乗るのはもちろん往路で乗った101系。他に三岐線を走るのは801系など、全て西武鉄道の中古車両である。
改めて、小型の凸型電気機関車であるED22。調べれば、西藤原で保存されるようになったのは2016年に入ってからだという。蒸気機関車102号機は時間の都合上、正面側の撮影を断念。
5.西藤原17:52発→近鉄富田18:37着 近鉄富田行き 102
三岐線の復路はやはり後方車両左側を選び、これで往路とは対になった。西藤原から乗る客はほぼいない。
もも「ま、来たくなったら原付とか…。」
なぎ「それを言うな。せっかく乗ろうってんのに、お前は。」
山間部の路線であり、周辺の景色をやや高い位置から眺められる。もうすぐ夕方6時、日没を過ぎたようで暗くなりつつある。
さく「いいんじゃない?」
なぎ「…景色見る気ないなら寝ろ。」
山間部らしさから突如としてセメント工場となるのが三岐線。土曜日の夕方とあって稼動状態とはあまり感じられないものの、物々しい雰囲気はしっかり感じ取れる。明かりが灯って"工場夜景"ともなる。
もも「…これさ、もうちょっといいタイミングとかないわけ?」
めぐ「…それわかったらいいけど、逃すかも。」
(つづく)