2022年12月28日(水)午後3時57分 広島市安芸区・スカイレールみどり口駅
発車した後ながら、ロープウェイのような"小型車両"はすぐに入ってきた。現状は日中15分間隔で運行されるものの、システム上は最短75秒という短い間隔で運行できるらしい。
6.みどり口16:00発→みどり中央16:05着 みどり中央行き スカイレールサービス203
車内もロープウェイらしく、4人ずつ向かい合わせに座席があるほかは立ちスペースとなる。無人運行が前提となるため乗務員室はない。
先に出た便へ多く乗車しており、こちらはあまり乗らないまま発車。普通鉄道では不可能な急勾配をいきなり上がっていく。小型ロープウェイやリフトと同様になかなか揺れ(重心の傾き)が大きく、慣れない身にとっては少々恐怖感すら感じられる。
向かう先は高台の住宅地。遠目に眺めれば周囲を山々に囲まれ、少々のギャップらしく…。
丘陵に沿って開発された住宅地を回り込むよう、勾配と共にスカイレールは上がっていく。カーブもなかなかきつく造られ、小型車体らしく小回りの良さを見せつけている。
見下ろせばひたすらに整然と、住宅が立ち並ぶ地。周囲の山々を気にしなければ、特に地元住民にとってなんて事のない景色だろう。
唯一の途中駅として『みどり中街』がある。運賃は均一であることから、来訪者にとってはどうしても扱いづらく感じてしまった。住民にとっては"最寄り駅"なので、なんて事もないのだろうが。
まだまだスカイレールは勾配を上がっていく。崖のような急斜面に沿ってスカイレールの構造物が設けられ、区画が明確に分かれている。悪く言えば地域を隔てているようなものか。
さあ、そろそろ『みどり中央』。最高速度は15km/h程らしく低く、距離が短くもなかなかの乗り応えであった。この感覚は懸垂式モノレールたる、湘南モノレールや千葉都市モノレールでは味わえないだろう。
麓の駅から5分で到着後、やはり循環式ロープウェイのように折り返していく。そのため乗り続けることは物理的にできなくなっている。
曲がりなりにも"交通機関"として、完全密閉式のホームドアが設けられている。1両の1ドアであることから、配置は他に類を見ないほど分かりやすい。乗車券は降りたところの回収箱に入れよう。
改めて、麓にあるJRの駅からここまで上がってきた。スカイレールでの標高差や、この地点の標高はどれほどだろうかと。遠目の山々と共に周囲を眺めながら考えたくなる。
駅の階段を下りて、正面の出入口からも並木道が伸びている。見た目は美しくも階段や勾配は長くきつく、体力が弱ればなかなか苦しいだろう。
住宅地のメインになろう、対面通行の車道と歩道。下り急勾配から上りに転じており、なかなかダイナミックな光景となる。
そんな『みどり中央』駅の出入口もまた急勾配に面している。正面から見る限りでは完全にロープウェイの乗り場らしく、都市型の交通機関とはとても思えない。
周辺の地図があったので見ておこう。住宅地の名称も『スカイレールタウンみどり坂』となっている。路線が廃止された際、名称はどうなるだろうか?
スカイレールの駅にトイレはなく、通り抜けた先の公園にある公衆トイレを使うこととなる。階段を下ってまた階段を下ると、確かに眺めは良さそうだ。
公園の公衆トイレは小さく、使い勝手はあまりよろしくない。あくまでも住民が使うもので、来訪者も住宅地や住民に関係する方しか想定していないのがわかる。
公園からの眺めは確かに素晴らしかった。これから日も暮れて暗くなり、家々の明かりが灯ってくる。美しく温かな風景となって、心にも落ち着きを与えてくれそうだ。
傾斜ある山間を開発した住宅地と、地域住民が遊ぶ公園。周囲に店などは全く見られず、観光要素など皆無。もう少し休んだら余所者は去るだけ。
さあ、そろそろ帰ろうか。それはそうとスカイレールの車両が来るたびに"機軸"から音を発するようで、下からでも結構伝わってくる。
(つづく)